第264話 速獅子1

柴田勝家は、土竜攻めでトンネルを抜けて敵の裏手に侵入する部隊に立候補して………。

と言うか信長に頼み込んでその部隊に入る事が出来た。


近臣では無いので今はスレイプニルには乗れない為、地上を進む部隊となるが、地上を進めば空から行く近臣達より早く城に入る事が出来ない。早く入らないと手柄は立てられない。


手柄を立てられる可能性があるのは、土竜攻めで後方から侵入する部隊だと思ったのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


空襲部隊出撃前。


「信長様! その守護獣は、な、何者ですかぁ!」

信広は焦って俺に尋ねる。


「ん? 北畠家の守護獣の獬豸だが、どうした?」


「ま、また守護獣が増えてる………。これは、本当に手柄を挙げないと埋没してしまうぞ」

小声で独り言をいいながら益々焦る信広。


信広の独り言はどうでも良いので、聞かなかった事にして、獬豸をもふもふしてる俺。


寝そべってるニルが、俺をジト目で見ているが無視だ。無視無視。


「やっぱりもふもふは有りだな、うちにも欲しいなぁ」

とウングをもふもふしながら呟いていたら。


(ワタシ達の子供の世話をするかワン?)

ウングが俺に念話で話し掛けて来た。


「え、本当! 俺は北畠家の者じゃ無いけど良いの?」


(木造家の主家だろワン)

(子供達にもそろそろ世間を見せておきたいワン)


「有難う。仲良くするよ」


(アン! こっちに来いワン!)

(ノン! こっちにおいでワン!)


すると中型犬ぐらいの小さい獬豸が2匹、俺の前の歪んだ空間から現れた。


(どしたの~ワン?)

(何だワン)


(よう! 俺は信長だ。宜しくね~)


(ん? なんだこいつ話し掛けて来たワン)

(アタシはノンよ~ワン)


(アン、ノン、この人と契約しなさいワン)


(え~、面倒だワン)

(良いわよ~、外の世界で暮らせるなんて楽しみ~ワン)


「ふ~ん、じゃあノンとだけ契約しよう。ノン宜しくね」


(ちょ、待てよ! 契約しないとは言ってないワン)


面倒臭い奴だなぁ。


「はいはい、分かったよ。テイム!!」

テイムが成功した。


と言って2匹とじゃれてたら。

(信長様、織田家の頭領が、織田家の守護獣と契約してないのは、いかがなものかと………)

と信広の使役するグリフォンがこっちを向いた。


グリフォンも念話を使えるんだ。


(そ、そうだね)


グリフォンももふもふ系と言えばもふもふ系だしねぇ。居てもいいな。


(うちからは若手ナンバー1を呼びましょう)

と言って、ピーっと喉を鳴らすグリフォン。


(なんすか?)

凄い速さで飛んで来たグリフォンの若者。


ん? こいつも一癖ありそうだな。


(このお方が織田家頭領の信長様だ。速獅子はやじし、お前は信長様と契約するんだ)

グリフォンが俺を羽で示した。


(はぁ、頭領と言ったって、俺が認めた奴じゃないと契約はしないっスよ)


こいつも面倒くせえ。

俺はアンとノンをもふりながらグリフォンのやり取りを見ていた。


(俺と契約したいってのは、こいつっスか?)

俺の方に歩いて来た速獅子。


こいつ?


俺はアンとノンを横に移動させて速獅子と向かいあう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る