第262話 八田城攻略

次は堅城で名高い八田城の大多和兵部少輔だ。八田城は50m程の小高い山に造られた城で、自然の地形を上手く利用していた。


城下町を破壊し尽くし、山の手前で陣を敷いて、城を見上げる。


「町を破壊して良かったのですか? 伊勢攻略後は信長様の領民になりますよ」

前田玄以が俺に尋ねる。


「民は殺さない様に逃がしたから良いんだよ。どうせ攻略後は城割りをして城は減らしたいからね。帰属しなかった城主の城は廃城にして城下町も無くす方針だ」


「城割り?」


「本当は一つの郡に城一つにしたいのたが、 直ぐには無理だからな。支城の城主の独立性を保てない様にして謀反を起こし難くすると共に、領主の城下町を更に発展させたいのさ」


「成る程、城と城下町を壊されれば、武将も領民も領主の城に移動せざるを得ないですからね」


俺と竹中重元が話をしていると………。


「大砲も主郭までは届かないですね。周囲の土塁を大砲で破壊しても、木々や崖があって山を登るのが難しそうだ」

平手政秀が俺の横でなんか言ってる。


「で、勘助。どうする? また、土竜攻めか?」

俺は勘助を見る。


「はい。そうですな。下手に大砲を打つと山が崩れて城に行く道が潰れますからな」

山本勘助が答えた。


「空から攻めるのと、兵は散開して鉄砲を中心に罠を警戒しながら山道を進む感じですね」

真田幸隆が補足する。


「なんだ、いつも訓練でやってるダンジョン探索と同じじゃん。ダンジョン探索や狩りを訓練で取り入れてる織田の兵だけで行こう」


「そうですな。軍の最小単位の班ごとに行動させましょう」

真田幸隆がそう言うので。


「今の話を聞いたな? 長秀は尾張統括の大内義隆に、半兵衛は美濃国統括の内藤興盛に、利家は伊勢国統括の三好政長に、成政は三河の内藤昌豊に、藤吉郎は近江国の浅井長政に、元康は飛騨国の姉小路頼綱に今の話を伝えて来い!」

俺は小姓達に伝令するように指示した。


「半蔵、伊賀の忍者達で班のフォロー宜しくな」

俺が誰もいない後ろを向いて言うと。


「承知しました」

服部半蔵が跪き現れた。


「甲賀忍者は行かなくても良いでしょうか?」

女の忍者もその隣に現れた。


「甲賀忍者も………、ん? 君は、あれ? 信忠の乳母をしてた………」


「はい、千代と申します。帰蝶様が信忠様の養育を行うとの事でしたので、信長様付きとして派遣されました」


「お、おう! そうか、宜しくな。甲賀忍者も一緒にフォローしてくれ」


「承知しました」

千代はそう言って消えた。


そこに、木造具政から面会の要望があり、了承すると、木造具政が獬豸と一緒にやって来た。


「八田城は森の中を進みますので、アグーとウングを連れて行ってください。信長様には心を許している様ですし、きっとお役に立ちます」


「お、おう! 有難う」

と言う事で獬豸の2匹は俺と一緒に行く事になったが………。


(アグー、空を飛べる? 俺達、空から攻める予定なんだけどね)

(飛べないけど、空は走れるワン)


(良かった。俺も下を行く流れかと思ったよ)

(ワン)


獬豸も出動するなら、グリフォンも出撃させるか。


「秀孝、信広にグリフォンを出撃させる様に伝えて来い!」

俺は近臣の一人で弟の秀孝に伝令を指示した。


後は、

「百足王、トンネルを掘ってくれ、詳細は勘助に聞け」

と百足王に「土竜攻め」の指示をした。


さてと、じゃあ八田城を攻めますかぁ!

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