異世界戦国記～大うつけ者で戦闘スキルが無いと追い出されたけど天下布武やっちゃうよ～

第254話 伊勢攻略出陣

俺達は美濃国の兵達と姉小路頼綱の兵、浅井長政の兵と合流し、岐阜城を立ち伊勢に向かった。

俺達の行軍の速さに、姉小路と浅井の兵達は喘ぎ喘ぎ付いて来る………。

いや、付いて来れないので、途中で休憩を挟んだりしていたが、あまりにも足手まといなので、途中で置いて来て、北伊勢で待ってる事にした。

但し、浅井長政と姉小路頼綱、その従者だけは馬に乗り俺の本陣と一緒に行軍している。

「信長兄さん、すいません。援軍に来たのに、うちの兵達があまりにもだらしなさ過ぎてご迷惑を掛けました」

頭を掻いて謝る浅井長政。

「私の兵も同じです。まったく信長兄さんの兵達の錬度の高さには、驚きを通り越して呆れるばかりです。もし許されるなら、うちの兵を兄さんの訓練に混ぜて貰って鍛えて欲しいです」

姉小路頼綱は目を輝かせて俺を見る。

「ははは、同盟国だからダメだなぁ。帰属してるなら良いんだけどな」

「あ～あ、国に帰ったら親父を説得して、信長兄さんの家臣になろうかな？　そしたら新絹や焼酎も安く卸してくれるんでしょ」

「まあな」

「鉄砲や大砲も売ってくれるよね」

「ああ」

「信長兄さんは優しいから、領地替えなんて言わないよね」

「それは確約出来ないなぁ。飛騨よりもっと肥沃な土地に領地替えするかもよ」

「ほほう、それはそれでも良いか」

俺と頼綱の会話を黙って聞いて考えている長政。帰属した時のメリットとデメリットを比べているようだ。うしし、一歩前進だ。

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北伊勢の萱生城に着くと北伊勢統括の三好政長、桑名郡統括の滝川一益、員弁郡統括の長野業正、朝明郡統括の柴田勝家が出迎えた。

三重郡統括の冷泉隆豊は楠城で神戸氏に睨みを利かせているので、萱生城には来ていない。

北伊勢から伊勢攻略戦に出撃する武将と兵は下記の通りだ。

【北伊勢】　　　　　計２００００人

北伊勢大将　　　　　　

　北伊勢統括：千種城代・三好政長

桑名郡　　　　　　　　兵５０００人

　統括：桑名城代・滝川一益

　副将：桑名城・伊藤武左衛門

員弁郡　　　　　　　　兵５０００人

　統括：野尻城代・長野業正

　副将：笠田城主・多湖実元

朝明郡　　　　　　　　兵５０００人

　統括：萱生城代・柴田勝家

　副将：茂福城主・朝倉盈豊

三重郡　　　　　　　　兵５０００人

　統括：楠城代・冷泉隆豊

　副将：千種城・千種忠基

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萱生城で北伊勢の兵達と合流し幹部による最終確認を実施した。

出席者は下記の７人だ。

俺、織田信長、

尾張国統括の大内義隆、

美濃国統括の内藤興盛、

北伊勢統括の三好政長、

軍師の山本勘助、真田幸隆、竹中重元

「攻略のルートは河芸郡の神戸家、鈴鹿郡の関家、安濃郡の長野家、南伊勢の北畠家の順で進めます」

山本勘助の説明で会議が進む。

「それは良いがこんな大軍が必要だったのか？　１６万人って多過ぎじゃねえのか。戦費が掛かり過ぎるぞ」

三好政長が山本勘助に尋ねる。

「もっともな意見です。戦費が掛かるので出来るだけ短期で終わらせたい」

真田幸隆が答えて、勘助を見た。

勘助に続きを説明させたいのかな？

「前回の北伊勢攻略は小規模城主が相手だったので、徹底した攻撃で織田軍に帰属しないと滅ぼすと言う姿勢を見せる事で、城主達を帰属させる戦略でした」

「ほうほう、そうじゃったか」

勘助の説明に大内義隆が呟く。

「おいおい、そんな事も知らんで北伊勢を攻略したのかい」

と三好政長がツッコむ。

政長、そのツッコみは正しいぞ。

「幸隆から帰属しない城主は徹底して攻撃して良いと言われたからのう」

義隆は政長のツッコみを気にしていない様だ。

幸隆が上手く義隆を誘導したんだろうなぁ。

「で、今回の戦略は何だ？」

政長が勘助に話の続きを促す。

「既に安濃郡の長野氏は調略済みですので、織田軍の圧倒的な戦力を見せる事で、戦う前に河芸郡の神戸氏、鈴鹿郡の関氏の心を折り帰属させます」

「成る程、チマチマと城を一つづつ落とすのでは無く。一気に行くわけか」

内藤興盛が感心している。

「また、周辺の強国に織田軍の戦力を認識させる事で侵攻の抑止力の効果を狙う事と………」

「と？」

「周辺弱小国の帰属化を進めます」

「ふむ、つまり甲斐の武田や駿河の今川、南近江の六角、越前の朝倉等には『うちに手を出したら痛い目を見るぞ』と思わせるのか」

興盛が勘助の説明を分かり易く言う。

「ふんふん」

と大内義隆が聞いている。

「そして、飛騨の姉小路、北近江の浅井、伊賀の仁木などを、あわよくば帰属化したいのだな」

「まあ、そんなところです」

興盛の確認に勘助が答えた。