第248話 伊勢攻略前

まだ、岐阜城は出来上がらないが、美濃国自体は落ち着きを取り戻し………。と言うか、空前の好景気に沸き上がりっぱなしだ。


牢人の大量雇用と街道整備や、いくさで破壊された城の修復や岐阜城の築城で人足達に仕事が増えて、雇用率が大幅に上昇したところに、尾張国から流れて来るダンジョン産の物や勘合貿易の珍しい品々は、購買欲が刺激されてしょうがない。


その上、尾張国と同じ様に関所の廃止に楽市楽座。城に繋がる街道は、兵士達が毎日の訓練でモンスターと盗賊達を狩るので、安全になった事で人の往来が増えて、城下町は活気が溢れ過ぎて毎日がお祭り状態らしい。


そして、尾張国が誇る3大豪商の伊藤屋・生駒家・加藤家が美濃にも大手を振って進出し、治水工事をするわ、主だった城下町に支店をだすわで、商売を手広くし始めると城主の収益もガンガン上がり、美濃国のほぼ全ての城主がその恩恵を受けて、織田家の支持も右肩上がりらしい。


美濃の城主達は、俺の指示である常備兵の雇用を初めは嫌がってたが、「無理のない範囲で良いよ」って言ってたのに、ほぼ全ての城で常備兵を雇用して、訓練の為に建設中の岐阜城に送り出して来る。


訓練を指導する人手が足りないと言うから、小牧山城から陶晴賢や弘中隆包、江良房栄の大将達と近臣達を派遣して、訓練をしたので兵の錬度も上がっていく。


あぁ、大将を増やしておいて良かったよ。


この現象は、北伊勢でも同じらしい。


吏僚達も足りないとか言うので、尾張と美濃と伊勢に行ったり来たりして、指導していてで大忙しだ。


吏僚も増やしておいて良かったよ。


この状況を見ていた、同盟国である飛騨の姉小路頼綱と北近江の浅井長政から、視察団が来て色々相談に乗ってやった。


浅井長政は俺の事を「兄さん」と言って慕ってるし、姉小路頼綱は、帰蝶の姉が嫁いでいるので、俺の義理の兄だけど年齢が下だし領地も狭いので、俺の事を「兄さん」と呼び始めた。


まあ、悪い気はしないよね。


そして飛騨と北近江にも、尾張の3大豪商が出店する事になった。伊藤屋と生駒家と加藤家はどんだけ儲けるんだよ。商売で天下を狙ってんのか?


特に生駒家は吉乃が俺の妻だが、息子の信忠が嫡男に決まった事もあって、力の入れようが他の2家とは違うみたいだ。


生駒家長にとっても、浅井長政と姉小路頼綱は遠い親戚みたいなもんだから、3人は仲良くなって、生駒家長も「兄さん」と呼ばれて色々相談に乗ってやっているらしい。


さて、ある意味美濃と北伊勢はまだ落ち着いてはいないけど、三好政長から「もう、伊勢を攻めても良いんじゃねえか? 北伊勢は準備万端に整ったぜ」って言って来てるし、美濃国に行った元尾張の城主達からも似たような事を言われているので、そろそろ伊勢を攻めますか。


と思ってたら………。


「おい、信長、そろそろじゃねえか」

「信長様、伊勢にご一緒します」

って前田利春79歳と平手政秀66歳が小牧山城にやって来た。

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