第173話 服部党攻略1

三好長政が率いる『服部党攻略軍』の陣容は、大将の三好長政と陶晴賢、弘中隆包、江良房栄、滝川一益に同行する下記の5100人。


熱田羽城主加藤順盛 1000人

荒子城主前田利久  1000人

深田城主青山信昌   300人

松葉城主織田伊賀守  200人

稲葉地城主織田秀敏  300人

前田城主前田長定   500人

奴野屋城主大橋重長  500人

山崎城佐久間信晴   300人

その他豪族     1000人


兵は2つに分けて陸路と海路から進軍をしている。


海路は陶晴賢を大将に弘中隆包、江良房栄と熱田羽城の加藤順盛の1000人の兵が船で進軍し、残りは三好政長を大将に4100人の兵が陸路を進軍。


三好政長は服部友貞の蟹江城の前に陣を張る。服部友貞は尾張国海西郡に蟹江城と荷之上城を有していた。


三好政長は大砲で城門を破壊し、大軍で蟹江城を攻略。蟹江城の兵は荷之上城に敗走し、それを追う様に三好政長の軍は荷之上に進んだ。


荷之上にいた服部友貞は、川向こうの伊勢国長島にある本願寺派の願証寺がんしょうじに応援を依頼するが………。


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当時、一向衆の総元締め、浄土真宗本願寺派第11世宗主の本願寺顕如けんにょの血族である証恵しょうえが願証寺を継承していた。


「証恵様! 尾張の織田信長が服部党の蟹江城を攻略し荷之上城に進軍。服部友貞より援軍のお願いが来ておりま………。証恵様! 証恵様? 証恵様! 証恵様ああああ!」


一向衆門徒の1人が証恵様に報告しにいくが、証恵の姿は何処にもない。


門徒は慌てて他の上位の僧侶の元へ指示を仰ぎに行くが、証恵に次ぐ門徒を指導する上位の僧侶も忽然と姿を消していた。


山本勘助の計略の一部で、猿飛佐助が暗殺し死体を隠したのだった。

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応援の来ない荷之上城は三好政長と海路から進軍した陶晴賢の大軍に押し潰された。


服部友貞は荷之上城で死に、服部党の兵達は願証寺に助けを求めて長島に渡る。


三好政長達は服部党の兵達が長島に逃げる様に隙を作っていて、服部党の残党を追って長島に上陸。そして陶晴賢の水軍は長島を囲む様に展開した。


長島にある長島城は、この時はまだ一向衆に攻略されておらず、伊勢国の北勢四十八家の1人、伊藤重晴が城主となっていた。


三好政長は長島城も攻略し願証寺に押し入った。願証寺には若い僧侶しか残っていなかったが、抵抗する僧侶達を拘束し長島の広場へ引き摺りながら連れていく。


広場には三好政長の兵が連れてきた、長島に居住する民達が溢れていた。


「俺は尾張の信長の家臣、三好政長だ! 長島城主伊藤重晴を討ち取った。これより長島は織田家の領地とする」

三好政長は広場の全員に聞こえる様な大きな声で叫んだ。


「俺達は本願寺顕如けんにょ様の了承を得てこの地に寺を作った。願証寺は不可侵の約定を持ってこの地に寺を構えた。お主達はその約定を破るのか」

若い僧侶は拘束されながらも三好政長を睨む。


「約定? 織田家は本願寺と何の約束もしておらぬし、服部党と協調して織田家を攻めた願証寺は許して置けぬ。約定を交わしたのはこやつであろう」

三好政長は長島城主伊藤重晴の首を、僧侶達に前に放り投げた。


「ひぃいいい」

怯える僧侶達。

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