第107話 正徳寺の会見1
志賀城の平手政秀が那古野城に駆け込んで来た。
「信長様、美濃の斎藤利政から会見の申し込みがありました!」
「あぁ、知ってる帰蝶に聞いた」
「知ってるのに何故そんな悠長にしてるんですかぁ!」
「ん、何で?」
「会見は5日後に正徳寺なんですよ! 美濃の斎藤利政から一方的に言われたんです。断りますか?」
「ん~。帰蝶、本当?」
「え~、日程と場所は知らなかったなぁ」
「ふむ、成る程。準備の期間が全く無い訳だ。父信秀に相談する時間はない。いますぐ出発しないと間に合わない。俺の家臣だけで来いとそう言って試されてるんだな」
「そーかもね。意地悪だね。会わない事にするの?」
「面白い。常在戦場を試されてるんだよね。これって、俺への挑戦状な訳だ。受けて立とうじゃないの」
「え~、受けるの?」
「緊急事態における総員出陣の訓練にしちゃうか。与力達の準備具合をこの際試しちゃうおう」
「ふ~ん、………良いかもね」
帰蝶がニヤリと笑った。
「長秀、那古野城の家臣全員に総員出陣の演習を行う旨伝えろ。目的地は正徳寺南前」
小姓の丹羽長秀に伝令をさせてっと。
「は!承知しました」
「と言う訳で。政秀、至急志賀城に帰って総員出陣だ。佐助!政秀を志賀城に送ってくれ」
平手政秀を猿飛佐助の転移で送らせてっと。
「御意」
佐助が現れた。
「ちょっ、ちょっとまっ──」
平手政秀は何か言い掛けたが、佐助の転移で送られた。
与力達には五右衛門を伝令に飛ばした。
そして村井貞勝に父信秀への報告を指示。勝手に尾張国内で兵を動かしたら、謀叛だと思われちゃう。
「総員出陣聞いた」
直子が俺の前に駆けて来た。
「直子、留守を頼むぞ」
「承知」
直子には
総員出陣は各城の戦闘要員全員の出撃。つまり城を空っぽにするのと同じ事。その際の防衛は直子と蟲達に任せる事にしていた。
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比良城主佐々成宗は麦焼酎と米焼酎の飲み比べをしていた。
「うん、旨い。どっちも良い。こりゃまた売れるな」
九州地方の一部も統治していた大内義隆。その家臣である内藤興盛や冷泉隆豊から、麦でも焼酎が作れる事を聞いた、飲んべえの根来衆達が早速作った焼酎を試飲をしていた。
与力となった佐々家や前田家、生駒家にはダンジョン産の焼酎と反物が格安で出荷されている。その売上が大きな利益を産み、与力になった各家は恩恵を受けていた。
その利益を使い戦力の増強を行う様、信長から指示が出ていた。
「突然失礼致す」
煙と共に成宗の前に現れた石川五右衛門。
「ん? 信長の使いか?」
「左様、信長様の使い石川五右衛門で候」
「何の様だ?」
石川五右衛門は手紙を佐々成宗に渡す。
「はぁ! 美濃よりの連絡で5日後正徳寺にて、斎藤利政と信長様の面会を行う事が急に決まったぁ、緊急事態の総員出陣の予行演習にするから来いってぇ!」
「左様」
「城を空っぽにするんだよな?」
「左様」
「誰がこの城を守るんだよぉ!」
「暫しお待ちを………」
ボンッと音がなる様に煙が出て、煙が人形になっていく。
「我らが城を守るゆえ、安心して城を空けるデス」
見慣れない顔、しかし底知れぬ迫力の男が成宗に前に現れた。
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