第79話 初陣4

俺の後を追って家臣達も今川軍後方に向かった。鉄砲隊は準備しており、先程同様に今川軍後方にライフルを撃つ。命中率が高く遠くまで届くライフルの弾丸は、確実に今川軍を撃ち抜く。


敵を貫き味方を殺傷するケースもあるがご愛敬だ。立ち込める煙の中から飛び出す俺達。今川軍に後方から襲い掛かる。


俺達が今川軍到達すると、果心居士の魔法で立ち込める煙は風で吹き消された。同時にまたライフルで狙撃し敵50人が倒れる。それを繰り返し確実に敵の数が減っていく。命中率が高いライフルは、敵だけを確実に狙撃していく。


敵陣に到達した青山信昌と内藤勝介が、無言で敵を斬り捨てていく。


「キィエエエエエエエエ!」

池田恒興は裂帛れっぱくの気合いで、

刀を水平に振ると、刃は敵を鎧ごと上下に両断した。

「良し、物にしたぞ!」

そして恒興は血糊を振り払い、次の敵に向かっていく。


朱槍を振り回し、槍で叩き潰し、槍で突き倒す、滝川慶次は変幻自在の槍さばきが敵を翻弄する。

いくさは武士の本分、存分に参られよ」


「カッコいい」

信行軍の若い兵が慶次の槍さばきに見惚れる。


諸岡一羽の剣筋は華麗で鋭く敵も見惚れる。

「我が剣に迷い無し。ただ斬るのみ!」


林崎甚助が無言で敵の間を走り抜けると、通りすぎた敵の首が落ちる。

甚助は無言で次の敵に狙いを定めた。


「うぉおおおおおお!」

鐘捲自斎は荒々しい壮絶の剛剣で敵兵を斬り殺すと、敵は怯み尻込みする。

「怯えるな! 忠義の証見せてみろ!」


佐々木小次郎が無言で物干し竿を軽々と振り払うと、敵兵の屍が横たわる。


富田勢源が舞い踊る様に敵を斬り捲り、横に後ろに斜め前へ自在に躱して斬り伏せる。

相手の次の動作が見える魔眼の富田勢源は、超越した絶技で無双する。

「さあ、参られよ!」


「戦いは諸行無常しょぎょうむじょう。同じ戦いは二度とない。私の経験となる為、さあ来い!」

愛州小七郎は剣を次から次に来る敵を一閃。敵兵が気付いた時は死んでいる。比類なき早業だ。


「すげぇえええ! 刀が見えなかった」

「剣筋が全く分からない」

信行軍若い兵達が愛洲小七郎の剣に驚き立ち尽くす。


「なんだい、君たち戦場で気を抜くなよ。さあ、気を入れて戦うんだ」


「うぉおおおりゃあああああ!」

杉谷善住坊が鉄の棒で敵を鎧ごと打ち砕く。


敵が周りから居なくなると、鉄砲として鉄棒を構え遠くの敵を撃ち、信行の兵を助けた。

「おいおい、大丈夫かい。ちったぁ頑張れよ」

「あ、有り難う。助かったよ」


「がはは、良いね良いねぇ。生き死にの狭間で煌めきを見せてみろ」

新免無二は敵が多いところに好んで突き進む。


「必殺! 暴風」

無二の完成した技だ。刀と十手の二刀流が風を巻き起こし敵を斬り刻む。


「お、あそこに強そうな奴らがいるじゃねえか。がはは」

無二が敵将を斬りながら駆け寄った。


「何者だ! 儂は今川軍大将──」

叫んだ武将の首が落ちた。

「がはは、口を動かす前に手を動かせよ」


「無二さん、こいつ敵の大将ですよ」

無二の後ろから木下藤吉郎が現れたる。


「がはは、大将の割には手応えがなかったがな。首は持っていくか」

無二は大将の首を持ち掲げた。


「がはは、大将討ち取ったりいいいい!」


その内、信光叔父の軍も今川軍後方に到達した。今川軍は目に見える様に数が減っていた。


「勝家! 助けに来たぞ」

俺は柴田勝家を見つけ駆け寄った。


「あ、有り難う。どこの誰かは知らんが九死に一生を得たぞ。後で褒美をとらせ……、っと、大うつけ! 貴様かあああああああ!」


「おいおい、助け来た者を、大うつけとは随分な物言いだな! 戦場でなければ首を刎ねてるところだぞ! 言葉に気を付けろよ!」


「な、に───」

しかし、柴田勝家は言葉を失い、俺達が縦横無尽に敵を無双していく姿を見続けた。


(信長がこれほどとは………。これでは信行様が跡継ぎの目がない………。……本当に信行様を跡継ぎに推して良いのか? ……信長の方が織田家にとって良いのかも知れないぞ………)

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