第25話 ダンジョン3
「お前らだとぉ! 貴様ぁ、吉法師様に無礼であろう。吉法師様は領主である織田秀信様の嫡男であるぞぉ!」
恒興が俺の前に出て刀を抜いた。
恒興は怒るとヤンキー言葉じゃ無くなるんだなぁ。なんて思いながら俺は二人のやり取りをぼーっと見ている。
慶次と帰蝶はちょっと困った顔になり、新免無二はニヤリと笑い、小次郎は怒り顔、果心居士はちょっと口元をヒクヒクさせて、佐助は無表情で無関心だ。
「ひっ、ひぃ。しかし、こ、これは決まり事で、実力の無い者がダンジョン内で死なない様に……」
「おい! 話をすり替えるな。決まり事について言ってるのではない。貴様の言い方が悪いと言っているのだ。無礼討ちされても文句は言えんぞ」
「がはは、そうよな。こりゃ切捨御免だな」
新免無二もいつの間にか刀を抜き番人の首に刃を当て、殺気を込めて威圧していた。
「主君への無礼赦さず」
佐々木小次郎も物干し竿を抜いてもう一人の番人の首に刃を当てていた。
周りにいた冒険者達は後退り、遠巻きに見ている。
「ひ、ひぃ。すいません。すいません。すいません。すいません。すいません」
無二が首に刃を当てている、無礼な言葉を言った番人が震えながらひたすら謝る。
どうやら失禁した様で足下が濡れている。
「ちょっとぉ、そのくらいにしてあげたら? こんな事で吉法師様の評判が落ちたらイヤでしょ。その男も十分反省してるわ」
帰蝶が前に出てきた。
そして俺を振り返りウィンクした。
可愛い。
「ね、吉法師様」
「ん、そ、そうだな。俺の事を知らなかった様だし、次期領主としては器量の大きさを見せるのも必要だ」
慶次はうんうんと頷いていた。
「主君の寛容な言葉、有り難く思え」
小次郎は番人を押して離れ、番人はヨロヨロとして倒れた。
「がはは、しかしこいつらを殺さねえとダンジョンに入れんぞ。そもそも領主の嫡男の顔を知らねえのが悪いだろう。領主の嫡男が、自分の領地のダンジョンに入れ無いのも、納得が出来ねぇ」
無二は全く違う事を考えてる様で、番人の首に刃を当てたままだ。首が少し切れて血が流れる。
「ひぃいいい」
帰蝶が門番の前に行き、懐から冒険者証を出した。
「Aランクの冒険者はダンジョンに入れるでしょ? そして冒険者じゃ無くてもがポーターとしてだったら入れるわよね」
「は、はぃぃぃぃ、はい、はい、はい、はい……」
番人は刃を恐れて静かに何度も頷いた。
「がはは、ダンジョンに入れるなら良いか。領主の嫡男の顔を覚えておけぇ!」
新免無二は番人を振り倒した。
俺達がダンジョンに入ろうとしたら、人影が進み出て跪いた。
「吉法師様! 初めてお目に掛かります。手前、中村郷の足軽の息子、木下藤吉郎と申します。必ずお役にたちますので、仕官させていただきたく──」
木下藤吉郎! 豊臣秀吉じゃん!!!
「許す。召し抱えるので共に来い!」
「私の特技は……。へ? 許す。は! ははぁ、有り難き幸せ。一生ついて行きます」
すると続いて3人の男が跪いた。
「拙者は近藤
「オラは土方
「僕は沖田総
「却下! 邪魔だから退けてね」
続いて跪く男達。
「芹沢鴨
「永倉
「斎藤
「松原
「武田
「ああああ! もう! 却下!却下!却下!却下ああああああああ! もう仕官は許しません!」
武田漢方斎って何だよぉ……。
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【作者からお詫び】
新撰組を好きな方が不愉快になっていたら、申し訳ございません。ユーモアの一つとして、笑って許していただければ幸いです。作者は新撰組は大好きなので他意はございません。
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