禊萩と目箒
「
「時と場合によりけりだね。バジル君なら、奪い取る?」
「少なくとも、ただ黙って指を咥えてはいません」
「……そう。そうだね。だけど知ってる?」
義姉からの誕生日に贈られたスコップを地面にぶすりと突き刺して、腹違いの弟がかくりと首を傾げる。相変わらず表情の読めない硝子玉のような瞳はすぐ側にいるはずの禊を素通りして、ずっと遠い何処かを見詰めている。その視線の向こうには遠くなっていく二つの後ろ姿があって。可愛い義妹と最近できた『おでき』を見送ると、禊はバジルにだけに聞こえるように小さく小さく呟いた。
(恋にはいずれ終わりが来るかもしれないけれど、家族は長い年月が経っても家族なんだよ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます