結婚披露宴の準備
昨日リヒトシュテルン大公国、ジェミオス橋公国、フリューゲル獣公国の戴冠式も終わったことで、アミスター・フィリアス連邦天帝国参加国は全て無事に独立を果たし、フィリアス大陸は初の統一国家によって纏められる事となった。
レティセンシアという無能国家がまだ残ってはいるが、ヴァーゲンバッハを攻めようとしていた軍が壊滅した事で国内はさらに荒れているらしく、もう他国に手を出す余裕は無くなった。
それでも無警戒って訳には行かないから、国境の監視は厳重に行われている。
「国とか相手の結婚披露宴は戴冠式で済ませたようなものだから、そっちは考慮しなくてもいいだろう」
「え?いいんですか?」
今日は天樹城で、俺、エド、ルーカス、ラインハルト陛下、レックスさん、ダートの6人が顔を突き合わせ、合同で行う予定の結婚披露宴についての打ち合わせを行っている。
いや、男性陣が決めるのは日程だけで、細かい事は女性陣がやってくれるんだが。
「ですが内輪で行うとしても、各自の招待客だけでもかなりの人数になりませんか?」
「そこが頭の痛い所だな」
そうなんだよな。
ルーカスとダートの奥さんはまだ1人ずつだが、エドは2人、ラインハルト陛下とレックスさんは3人、俺に至っては6人と正式に結婚しているし、さらに俺とエドにはまだ未成年の婚約者も複数いる。
エリス妃殿下とマルカ妃殿下は既に披露宴を済ませているから除外してもいいそうだから、お2人の親族は招待せず、俺とエドの婚約者の親族も呼ばないという案もあるにはある。
だがエリス妃殿下とマルカ妃殿下はそれで良いとしても、俺とエドの方は微妙な話になる。
なにせエドの婚約者カメリアは孤児だから身内がいないが、フィアナはフィーナの妹だ。
俺の場合はもっと面倒で、ユーリはマナとラインハルト陛下の妹、真子さんは俺と同じ
「ルーカス、ダート。君達は2人目を娶る予定は無いのか?」
「今の所はありません」
「俺はありますが、彼女はまだ16歳になったばかりですから、結婚は1年程先になります」
ダートは2人目の予定は未定だが、ルーカスには既に2人目候補がいる。
お相手はプラダ村出身のクラフターで、フラムより2つ年下のエルフだ。
去年の夏にフラムがプラダ村を出てからは、子供達にとっては一番上のお姉さんって事になっていた。
当然フラムとも仲が良く、俺も何度か会った事があるぞ。
その子もフラムと同じくクラフター志望で、本来なら成人と同時にプラダ村を出る予定だったんだが、フラム、ラウス、レベッカの活躍を聞いて、自分も早く村を出たいと村長に掛け合い、冬になる前にプラダ村出身のオーダー カルディナさんがフィールに戻る際に同行させてもらったそうだ。
その時期のルーカスはトラレンシア派遣部隊に参加していたが、そのエルフの子クララとはプラダ村勤務の際に何度も顔を合わせてたそうだから、気が付いたら婚約してやがったな。
まあその子の事は俺も知ってるから、ウイング・クレストにも加入してもらった上でゲート・クリスタルも渡してあるが。
戴冠式直前の時期でもあったから、今も慣れるのに必死になってるぞ。
「そうか。ダートの妻に関してはフレデリカ侯爵も骨を折ってくれるだろうが、私も覚えておこう」
「お、恐れ入ります……」
ガチで恐縮してるダートだが、そりゃラインハルト陛下からの紹介となったら、余程相性が悪くない限りはそのままゴールインが決まってるようなもんだから、驚くなって方が無理だよな。
「場所はアルカの中庭と決まってますけど、誰を呼ぶかもですけどまずは日にちを決めた方が良いんじゃないですか?」
「そちらは来月の中頃でいいだろう。直前に
それもあったな。
復興支援はもちろんだが、放棄する街から移動する人の護衛の問題もあるから、しばらくは数ヶ月に一度のペースで開催される予定だ。
そして
リッターズギルドはオーダーが頂点だが、その下はホーリナーも含めて上下関係は無い。
だから会議は円卓で行われる事も決まっていて、そこから名付けられている。
真子さん曰くリッター、リッター・デア・ラウンドはドイツ語で騎士、円卓の騎士らしいが、ヘリオスオーブだと地球の国の言語なんかは関係ないし、同じ騎士を意味する言葉もオーダーやリッター以外にナイトやシュヴァリエ、キャヴァリェなんかもあるらしいから、多分過去の
ちなみにリッター・デア・ラウンドは、微妙にドイツ語とは異なるそうだ。
実際にドイツ語では、
その
オーダーズギルドと同じく貴族領の監査も任務の内だし、別のギルドに出向するリッターも出てくるから、そちらの調整も必要になる。
今は建国したばかりだからバタバタしているが、いずれは落ち着いて報告会になるんじゃないかと予想されてもいるな。
それに
だから披露宴は、
「
「そうだね。グランド・オーダーズマスターとアソシエイト・オーダーズマスターは、喫緊の事態でもない限りどちらも参加するよ。あとホーリナーズギルドだけど、ここもコンフォーム・ホーリナーズマスターを任命する事になった」
「そうなんですか?」
「ああ。やはりホーリナーズギルドやプリスターズギルドにとって、宝樹のあるエスペランサは聖地だからな。だからそちらの警備も厚くしたいそうだ」
これはグランド・プリスターズマスターも同じ考えだそうだ。
確かに宝樹の中に作られたエスペランサ大神殿は俺も見たが、フロートに建立されたプリスターズギルドの新総本部より立派だし、神々しい雰囲気すらあったからな。
同じ理由でグランド・プリスターズマスターとアソシエイト・プリスターズマスターも、ホーリナーと同じく半年交代で、エスペランサ支部に滞在する事に決まったらしい。
元々アソシエイト・プリスターズマスターは2人だから、特に問題無く決まったみたいだな。
「宗教ですから仕方ありませんが、ホーリナーズギルドは各地のプリスターズギルドの警備も担う事になったはずではありませんか?」
「その通りだが、残念ながら圧倒的に人手が足りていないから、現状ではリッターズギルドと連携し、警備を行う事になっている。今までと変わらないよ」
元々ホーリナーズギルドは200人程しか登録されていなかったギルドだから、全てのプリスターズギルドの警備を行おうと思ったら人手不足どころの問題じゃない。
だからまずはフロートの総本部とエスペランサ支部のみの警備を行い、余裕が出てきたら各国の首都に建立されている本部に人員を派遣し、最終的には全ての支部にホーリナーを配置したいっていうのがプリスターズギルドやホーリナーズギルドの考えだ。
まあ簡単に人が増える訳じゃないから、何年、何十年かかるかは分からないが。
「
それは知らなかったな。
だけどプリスター登録をしているリッターは多くはなく、オーダーでも300人いるかどうからしい。
さすがに一度にホーリナーズギルドに出向っていうのは問題でしかないから、一部を試験的に出向させて、問題ないようなら完全に転属させる事も視野に入っているそうだ。
プリスターズギルドの収入は、基本的にはお布施だが、結婚や収穫祭のような冠婚葬祭なんかも執り行っている。
だがプリスターだけじゃなくホーリナーまでとなると、さすがに厳しい。
だから各国はもちろん、領主やギルドも毎年かなりの額を寄付してるそうだ。
「
「そうですね」
興味ある話だったが、現実逃避にも近かったか。
「じゃあ披露宴は
「時間と場所はそれでいい」
「食材も、俺達が大量に狩ってきてますから、心配はいらないですよ」
ソルプレッサ迷宮にイスタント迷宮、クラテル迷宮まで行ったからな。
「助かるよ。給仕のバトラーと調理師は、私が手配しよう」
それは助かる。
最初はフィールのクラフターズギルドとバトラーズギルドに依頼しようと思ってたんだが、調理師はともかくバトラーはユーリが着任した事もあって、ちょっと人が足りない感じになってきた。
ウイング・クレストで契約している8人のバトラーにヒルデ付きのミレイも手伝ってくれるが、さすがにそれだけじゃ足りないから、どうしたもんかと思ってたんだよ。
「残る問題は、招待客ですね」
「ですね……」
披露宴の日時に場所、給仕や調理師はすぐに決まった。
だが最大の問題は、やはり招待客だ。
身内を招待するのは当然としても、その時点でアミスター、トラレンシア、リヒトシュテルンの王家の参加が決定しているからな。
さらに俺とエドにはまだ未成年の婚約者もいるから、そっちの親族も呼ぶとなるとバレンティアも加わる。
「大和は妻6人に婚約者6人、エドワードが妻2人に婚約者2人、グランド・オーダーズマスターは妻3人、俺とダートは妻が1人ずつ、そして陛下が3人ですか」
「エリスやマルカと結婚したのは4年前だから、2人は除外してくれ」
「よろしいのですか?」
「結婚の披露宴だからな。そういった者まで招待していては、それこそ際限が無くなるだろう」
それは確かに。
だけど他国からの招待客って事にもなるから、招待されない国との間で問題になったりしないだろうか?
「その懸念もあるから、可能ならば招待するべきだろう。各国にアルカを見せておける良い機会でもあるしな」
「なるほど、確かにそうですね」
そう言われればそうか。
トラレンシアに援軍を派遣する際やソレムネに進軍する際、オーダーやセイバーはアルカを経由して移動していた。
進軍中にトラベリングを習得してからはアルカを経由する事は無くなったが、それでも多くのオーダーやセイバー、ハンターがアルカの存在を自分の目で見ているし、噂ぐらいは王達も知っている。
特にトラレンシアとリヒトシュテルン、ヴァルトは俺にとっても身内になってるから、実際に話しているな。
ソレムネの帝王やレティセンシアの皇王なら何としても手に入れようと難癖付けてくるどころか戦力の派遣すらしてくるだろうが、連邦天帝国参加国の君主がそんな事を言ってくるとは思えないから、そこは安心してもいいだろう。
実際にゲート・クリスタルやゲート・ストーンを渡してるのはアミスターとトラレンシアだけだが、アミスターは連邦天帝国の盟主だし、トラレンシアはヒルデ個人に渡してるだけだから、ブリュンヒルド殿下に譲位後は
アミスターのゲート・ストーンもラインハルト陛下とサユリ様の王連街屋敷だから、実質的には個人に貸してるって言えるか。
本当に各国君主を招待する事になるとは思わなかったが、ここまで来たらもう逃げられない。
諦めて他の招待客のリストでも作るとするか。
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