トレーダー・トラブル

 ガドラーさんの絶叫によるダメージからみんなが、特に獣族が回復してから、俺達はランクアップ手続きを、アライアンスは報酬を受け取りに向かった。

 何人かは昇格できるレベルになったからな。

 ちなみにアライアンスの報酬は、俺達が手伝ったとはいえ、最深層の守護者ガーディアンの間どころか守護者ガーディアンの討伐も確認したということで、ラインハルト陛下の口添えもあって正規の成功報酬が支払われることになっている。

 俺達も無事にランクアップ手続きを終え、何匹かの魔物を売ってから、ガドラーさんに獣車を案内することになった。

 あ、これが俺達のライセンスね。


 ヤマト・ハイドランシア・ミカミ

 17歳

 Lv.81

 人族・エンシェントヒューマン

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:アダマン(A)

 オーダーズギルド:アミスター王国 フロート アウトサイド

 オーダーズランク:オリハルコン(O)

 クラフターズギルド:アミスター王国 フィール

 クラフターズランク:シルバー(G-S)


 プリムローズ・ハイドランシア・ミカミ

 17歳

 Lv.76

 獣族・エンシェントフォクシー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:ミスリル(M)


 マナリース・A・ミカミ

 18歳

 Lv.63

 人族・ハイエルフ

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フロート

 ハンターズランク:プラチナ(P)

 トレーダーズギルド:アミスター王国 フィール

 トレーダーズランク:ティン(T)


 ユーリアナ・レイナ・アミスター

 14歳

 Lv.38

 人族・ヒューマン・ハーフエルフ

 ヒーラーズギルド:アミスター王国 フロート

 ヒーラーズランク:ゴールド(G)


 ミーナ・F・ミカミ

 17歳

 Lv.57

 人族・ハイヒューマン

 ユニオン:ウイング・クレスト

 オーダーズギルド:アミスター王国 フロート アウトサイド

 オーダーズランク:シルバー(S)

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:ゴールド(G)


 フラム・ミカミ

 18歳

 Lv.52

 妖族・ハイウンディーネ

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:ゴールド(G)

 クラフターズギルド:アミスター王国 フィール

 クラフターズランク:ブロンズ(B)


 リディア・ハイウインド

 16歳

 Lv.59

 竜族・ハイドラゴニュート(氷竜)

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア

 ハンターズランク:ゴールド(G)


 ルディア・ハイウインド

 16歳

 Lv.59

 竜族・ハイドラゴニュート(火竜)

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア

 ハンターズランク:ゴールド(G)


 アテナ・ウィルネス・シルバー・トマリ

 84歳

 Lv.51

 竜族・ハイドラゴニアン

 竜名:シルバードラゴニアン

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア

 ハンターズランク:ゴールド(G)


 ラウス

 14歳

 Lv.56

 獣族・ハイウルフィー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:ゴールド(G)


 レベッカ

 13歳

 Lv.52

 妖族・ハイウンディーネ

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:シルバー(G)


 キャロル・ベルンシュタイン

 15歳

 Lv.40

 人族・エルフ

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ヒーラーズギルド:アミスター王国 フィエリテ

 ヒーラーズランク:ゴールド(G)

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:ブロンズ(B)


 エドワード・アルベルト

 19歳

 Lv.38

 人族・フェアリー・ハーフドワーフ

 ユニオン:ウイング・クレスト

 クラフターズギルド:アミスター王国 フィール

 クラフターズランク:ゴールド(P-G)


 マリーナ・アルベルト

 19歳

 Lv.40

 竜族・フェアリー・ハーフドラゴニュート

 ユニオン:ウイング・クレスト

 クラフターズギルド:アミスター王国 フィール

 クラフターズランク:シルバー(G-S)

 トレーダーズギルド:アミスター王国 フィール

 トレーダーズランク:ブロンズ(B)


 フィーナ・アルベルト

 17歳

 Lv.38

 妖族・ハーピー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 クラフターズギルド:アミスター王国 フィール

 クラフターズランク:シルバー(S)


 マリサ

 20歳

 Lv.44

 妖族・ハイヴァンパイア

 ユニオン:ウイング・クレスト

 バトラーズギルド:アミスター王国 フロート

 バトラーズランク:シルバー(S)


 ヴィオラ

 15歳

 Lv.38

 獣族・タイガリー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 バトラーズギルド:アミスター王国 フロート

 バトラーズランク:ブロンズ(B)


 ユリア

 14歳

 Lv.35

 獣族・ラビトリー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 バトラーズギルド:アミスター王国 フロート

 バトラーズランク:カッパー(C)


 エオス・ウィルネス・グリーン

 117歳

 Lv.61

 竜族・ハイドラゴニアン

 竜名:グリーンドラゴニアン

 ユニオン:ウイング・クレスト

 バトラーズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア

 バトラーズランク:ゴールド(G)

 ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア

 ハンターズランク:プラチナ(P)


 フィアナ

 15歳

 Lv.21

 獣族・リクシー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 クラフターズギルド:アミスター王国 フィール

 クラフターズランク:ティン(T)


 レイナ

 12歳

 Lv.18

 妖族・ハーピー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 クラフターズギルド:アミスター王国 フィール

 クラフターズランク:ティン(T)


 俺はAランクハンターに昇格し、マナとエオスもPランクハンターに昇格している。

 俺やプリムを含めると、6人目と7人目のPランクハンターってことになるな。

 このままいけば、いずれはエンシェントエルフやエンシェントドラゴニアンにも進化できるだろう。

 ユーリとキャロルは、昨日と今日はほとんど戦闘を行っていない。

 アライアンスへの治療が必要だったから仕方ないんだが、それでも成人する頃には進化できるんじゃないかと思う。

 エド、マリーナ、フィーナも、ハイクラスへの進化が見えてきている。

 特に獣車に携わる機会の多いフィーナは、かなりモチベーションも高く、レベルの上昇度もエドやマリーナより高いから、もしかしたら一番早く進化するかもしれない。

 バトラーも進化が見えてきている感じがするし、実際にマリサさんはハイヴァンパイアに進化している。

 フィアナとレイナは、数日前までレベル一桁だったことを考えたら、十分にレベルアップしている。

 今回が初回だから、急性魔力変動症に罹患することはないと思うが、しばらくは戦闘訓練は控えて、クラフター修行に専念してもらうつもりだ。

 あとラインハルト陛下はレベル58、エリス殿下はレベル47、マルカ殿下はレベル52になっていたから、マルカ殿下もGランクハンターに昇格している。

 アライアンスの人達も全員レベルアップしていて、ワイズ・レインボー リーダー フラウさんとスノー・ブロッサム リーダー プラムさんも、Gランクハンターに昇格していた。

 やっぱり合金製の武器を使うと、魔力の制限が解除されるから、固有魔法スキルマジックを上手く使えるハイクラスはレベルが上がりやすいみたいだ。


 無事に昇格と報酬の受け取りが終了すると、アライアンスは俺達に声を掛けた後、疲れを癒すために宿なり酒場なりに繰り出したが、レイド・リーダーのスレイさん、エルさん、シーザーさん、フラウさん、プラムさんは試作獣車の使用感なんかをガドラーさんに伝えるために残っている。

 そしてガドラーさんを伴ってハンターズギルドの外に出ると、そこにはオーダーが待ち構えていた。


「陛下、ようこそイスタントへ。ご挨拶が遅れました、私はイスタントのオーダーズマスターを務めています、グレイブ・ショックと申します」

「同じくサブ・オーダーズマスター ミカエラ・クリムライトです」

「ああ、ご苦労。突然呼び付けてすまなかったな」


 イスタントのオーダーズマスター、サブ・オーダーズマスターがハンターズギルドに来た理由は、陛下に挨拶をするためじゃない。

 今回の陛下はハンターとしてイスタントに来ているから、オーダーだけじゃなく領主や代官も挨拶をする必要はないし、それを不敬だと咎められることもない。

 ハンターもしっかりと予定を立てて行動するが、その予定が変更になることは珍しくないし、陛下もそれをしっかりと理解しているから、余計な手間を掛ける必要はないってことを、ハンター登録をすると同時に公言していることが理由だ。

 むしろ挨拶に来る方が、不敬だと受け取られるらしい。

 今回グレイブさんとミカエラさんは、陛下が直接呼んでいる。

 理由は、オーダーにも試作獣車を見てもらうためだ。

 フロートに戻ったらグランド・オーダーズマスター……は、まだメモリアにいるから、アソシエイト・オーダーズマスターを務めているミーナの親父さんにも見てもらうことになっているが、他のオーダーの意見も聞きたいって陛下に提案されて、俺達も了承したから、この場に来てもらったという訳だ。


「いえ、陛下からのご用命とあらば、いつ何時でも」

「ああ、ありがとう。堅苦しい挨拶はここまでにしよう。既に聞いていると思うが、今回君達に来てもらったのは、ウイング・クレストが開発した新型獣車の試作を見てもらうためだ」

「はっ、陛下方がイスタントに入られる際、私も確認させていただきました」


 ミカエラさんは、遠目とは言え、既に見ていたか。


「グレイブはどうだ?」

「申し訳ありませんが、私は本部の方で執務をこなしていたため、拝見させていただいておりません」

「いや、謝る必要はない。だがある意味では、その方が都合が良いな。大和君、後は頼む」


 ここで丸投げですかい。

 いや、確かにウイング・クレストが開発したって言っちゃったから、俺が説明するのが筋なのかもしれんけどさ。


「えっと、ウイング・クレストのリーダーをしているヤマト・ハイドランシア・ミカミです」

「おお、君が噂のエンシェントヒューマンか」

「若いと聞いていたけど、本当にそうなんですね」


 俺がエンシェントヒューマンだってこと、Oランクオーダーに任命されたことは、先月の授与式典で大体的に公表されてるから、アミスターはもちろん、友好国にも知れ渡ってるって話だ。

 だからグレイブさんやミカエラさんが知っていても、不思議でも何でもない。

 俺はまだ17歳の若造だってのに、侮ったりするような雰囲気は微塵も感じられないのも、アミスターのオーダーズギルドならではって感じもするな。


「それじゃ案内します」


 俺が先導して車場に入っていくと、どれが俺達の獣車なのかは一目で分かる。

 だからなのか、周囲からの奇異の視線も多いんだが、よからぬ輩が目を付けやすいとも言える。

 こんな風に。


「ですからこの獣車は、お売りすることはできません」

「そこを何とか!これ程の獣車は、早々お目にかかることはできません!王家の方々はもちろん、貴族もこぞってお買い求めになられるでしょうから!」


 てっきり不良ハンター辺りが絡んでくるかと思ってたんだが、トレーダーが来てるとは思わなかった。

 どうやらヒューマンでリベルターのトレーダーみたいだが、今のところその獣車を積極的に広めるつもりはないし、少し小太りで金のためなら何でもしそうな雰囲気が漂ってるから、製法はもちろん、獣車そのものを売るつもりはしないな。


「お帰りなさいませ、大和様」

「き、君がこの獣車の持ち主なのか?」


 獣車の持ち主が、まさか俺みたいな若造だとは思ってなかったんだろう。

 あからさまに侮蔑の視線を向けてきてやがる。


「君のような若造より、僕の方がもっと友好的に活用できる。悪い事は言わない、その獣車を私に譲りなさい」

「いや、そんな勝手なことぬかす奴に、この獣車を譲れるわけがないだろ?」


 そう言って俺は、悪徳っぽいトレーダーにライセンスを突き付ける。

 すると途端に、悪徳トレーダーの顔色が青く変色していった。


「この獣車には、私も大きな期待を抱いている。それを横から掻っ攫おうなど、いくらトレーダーとはいえ、感心できることではないぞ?」


 さらに陛下までライセンスを突き付けたものだから、悪徳トレーダーの顔色は真っ白になって、泡まで吹いてきやがった。


「グレイブ、すまないがオーダーをトレーダーズギルドにやって、この男の素性を調べてくれ」

「はっ!」


 悪徳トレーダーさんはオーダーに両脇を抱えられながら、そのままトレーダーズギルドに連行されて行った。

 リベルターにはトレーダーズギルドの総本部があるから、トレーダーの活動は活発だ。

 だけど自分の利益だけを追求するトレーダーも多いし、人を騙して大金を巻き上げたりする悪徳トレーダーも少なくない。

 あのトレーダーがどちらかはわからないが、どっちにしても信用できるような感じは微塵もなかった。

 そもそもそういったトレーダーは、敵国のはずのソレムネやレティセンシア相手でも商売を行ってるし、武器や魔導具なんかの横流しをすることもあるそうだから、もしこの獣車が流れたりなんかしたら、面倒なことになるに決まってる。

 まあミラーリング付与の問題があるから、作るためにはハイクラフターが必要になるんだが。

 ともかく余計な騒動だったが、これで邪魔者はいなくなったから、ようやく獣車の案内ができるな。


 後で教えてもらえたんだが、やっぱりあの男はリベルター出身で、Gランクトレーダーだそうだ。

 あんな見た目と雰囲気を醸し出しておきながら、リベルターでは孤児院を経営しており、トレーダーズギルドからも優良トレーダーとして高い評価を得ているらしい。

 その孤児院は、食事処や道具屋なんかも併設されていて、孤児達が店員や給仕なんかを担当し、独立した時のためにと賃金も貰っているし、読み書き計算も教えられているんだとか。

 それでも無理に獣車を買い取ろうとしたことで、ペナルティーとして罰金が科せられたそうだ。

 その話を聞いた俺とラインハルト陛下は、心の中でそのトレーダーに謝罪し、その孤児院宛に寄付金を送ることで話を纏めることになった。

 人は見た目で判断しちゃいけないってことだよな。

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