15.文化祭レビュアーズ:前編 5
「どうしたんです?どうせ昼食でもレビュー書くつもりって話でしたしクラスの売り上げに貢献したらいいじゃないですか。あ、もしかしてメニューが苦手な食べ物だったりします?」
とはいえ新田に好き嫌いがあるという話はあまり聞いた覚えがない。
「いや、そういうわけじゃないがその…もうちょっと後にしないか?」
「ランチタイムですし混んでるとかですか?まあとりあえず行ってみましょうよ。僕もうけっこうお腹空いてるんですよね」
午前中から楽しみにして勢い付いている不二は新田の手を取ると返事も待たずに屋台ゾーンへ向かって歩きだす。
「ちょっと不二くん、おいって…ったく、仕方がないな…」
反射的に抗いかけた新田だったが、不二の楽しそうな様子を見るときついことも言えずしぶしぶと付き従った。
新田のクラス、3-Aの屋台へ近付くと明るい、というか若干けたたましい少女の声が響いてくる。
「らっしゃいらっしゃい!今日しか食べられないスペシャル焼きそばパンはこちらだよー!」
屋台の前で客寄せをしている声の主はふたりに気付くと迷いなく大股に近付いてきた。
颯爽と髪を靡かせてひとごみを無人の野が如く斬り裂いて迫る彼女を一言で表すならこれしかないだろう。
“派手”だ。
腰まで届く跳ね放題の、しかし透き通るような蜂蜜にも似た金髪。猫のような大きな瞳が髪と同じ色に輝く少女。
袖を肩口まで捲ったシャツは腰で無造作に括られ素肌を晒し、スカートも膝どころかかなり際どい高さまで巻き上げられてひらひらと視線を挑発する。
その美しい金髪と緻密な計算を感じさせるほどにギリギリまで攻めた制服は包まれた小麦色の肌を言いようもなく際立たせている。
「いよう!そこのおふたりさん!創作玄米パンの老舗、ベーカリー
これだけ派手な生徒だ。一年下の不二でも彼女の名前だけはよく知っていた。
「あー、
新田が苦味虫を噛み潰したような顔で舌打ちした。
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