15.文化祭レビュアーズ:前編 2

「さてそれでは改めまして。先日撮影させていただいたダブルピース写真は残念ながら新田部長の本意ではなかったので、できれば文化祭での利用は遠慮して欲しいという相談を不二くんから受けたのですが」


 身も蓋もないが、不二はここで誤魔化しても絶対ロクなことにならないだろうと思って両者に正直に状況を伝えてある。


「あ、ああ…その通りだよ。すまないね多聞さん」


「いえいえ、こういうちょっとした行き違いはよくあります。新聞部のような活動では特に」


 全然悪気なさそうにしれっと行き違いで済ませる多聞。


 新聞部の活動である校内新聞は生徒たちの間でちょっとした人気コンテンツになっているが、如何せん他人のプライベートに踏み込んだゴシップ記事が多くたびたび生徒の間で、場合によっては教師や保護者も巻き込んだ問題に発展している。

 そしてこの二年間、それらの記事を執筆している記者の筆頭とも言えるのが彼女、多聞たもん あらただった。

 クレームなど日常茶飯事といわんばかりの無頓着さだ。


「写真の掲載は取り止めても構いません。しかしこちらも一応部活動の一環としてやっていますので…代わりに少々ご協力をお願いできませんか」


「ええと、とりあえず、内容を聞いてもいいかな」


 前科のある相手だけに快諾を避ける新田。多聞はひとつ頷くとコピー用紙をふたりに手渡す。

 用紙には“出し物” “感想” “点数(五段階)”のみっつの項目が五個ずつ並んでいる。


「ふむ。これは?」


「おふたりに来月行われる文化祭の出し物に対するレビューを書いていただきたいのです」

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