11.明日への優待券 4
「まだ僕に追い打ちをかけようって言うんですかこの鬼!悪魔!先輩!!」
「いいから話を聞きたまえよそれから今の発言はあとで詰めるからね」
「え、あ、はい。え」
やや混乱気味になった不二の前にそっと差し出されるチケット。
「えーっと?」
「公営アトラクション屋内プール、ニェネウォーターパークの無料優待券だ。なんと年中無休」
「それは何回か行ったことあるので知ってます」
「そ、そうか」
「ええと、もしかして」
「秋の連休かそれ以降にそこなら行ってもいい。打ち上げとして」
「っしゃあっ!」
「店の中で叫ぶんじゃない」
当然だがかなり注目を集めていた。
赤面して俯く不二を見て新田は苦笑いを浮かべる。
「それに言っただろう?打ち上げとしてだからね」
「あ、はい。ところで打ち上げというのは、なんのです?」
「君に秋の四季報に出す小説を一本書いてもらう」
「えええええええええ」
今までもペナルティとしてちょっとしたものを書かされることは稀にあったけれども、校外向けに正式な部活動として小説を書けなんて面と向かって言われるのはさすがに初めてだった。
当校の文芸部はそのほとんど、というか実際にこのふたりを除く全員が幽霊部員。所属部員に活動を求めてこない姿勢は部の売りそのものだったはずだ。
なんといっても当の新田が部活紹介で公式にぶっちゃけているのだから間違いない。
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