独り言

@ayumi78

第9話

用意された独身寮は、最近建てられたマンションだった。1LDKだが、少し広めの造りになっていた。極最低限の身の回りの物を部屋に持ち込み、商社から支給されたマニュアルを読んでいると、携帯が鳴った。

出てみると母親だった。「入社おめでとう。そっちに行けなくてごめん。今、こっちの仕事が忙しくて手が離せないのよ。落ち着いたらまた会おう」

たったこれだけの会話だったが、心が安らいだ。

翌日から仕事が始まった。表向きは一般商社だから、電話の応対や取引先との商談……多彩な仕事に追われた。

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