(二)-13


 とりあえず、動けるメンバーを探すことにした。二人に連絡を取ってもらった。

 すぐに動けるメンバーは四人だった。僕とナボコフ、それに「床屋」のユーリと、ヤノ・ムラデリという若者だ。

 ヤノはもともと西部の農村出身で高校を出た後、ホテルのドアマンをしていた。クーデター後、勤めていたホテルが経営悪化に伴い解雇された。政府や経営者の行為に不満を抱き、それが自然と反政府運動に参加させることになった。

 このとき僕は思い出していた。ロイが反政府運動を立ち上げてまだ間もないときに、彼が集まった仲間を前にして語ったセリフを。それは「理不尽と暴力が恐怖でこの国の幸福の花畑を絶望のツンドラへと変えてしまった。僕たちはそれに抗わなければならない」というものだった。

 僕はロイを救出することに決めた。ユーリとヤノは別の場所にいるので、現地集合するよう電話で指示を出した。


(続く)

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