第102話 マシンガン獣の挙動
そのまま待つこと約40分、エリンの声がインターコムから流れてきた。
「来たわよ、距離5,000」
そう言ったエリンも車から飛び出してポジションについた。
ライフルのスコープで前方を監視していたリンドウ。
「スコープで確認した。距離4,300」
そして
「距離3,500。おい、背中に2丁マシンガンを背負っているのがいる。それは残すぞ、あとは1丁背負っているのが5体ほどいる。ランディ、サクラ、マリー、背中に背負ってない大型から倒すぞ、小型は任せた」
そう言い3,100でリンドウの銃が火を噴いて大型1体を戦闘不能にする。
「小型がスピードを上げた、こっちに向かって来る」
「見えてるわよ、小型は任せて」
「任せろ」
リンドウの言葉にルリとスティーブからすぐに返事が入った。
その後リンドウの狙撃で3体を倒した時に地上に構えていた乱射部隊のマシンガンが火を噴いた。近づいてくる小型を次々となぎ倒していく。
スナイパー組は2,200を切ったときから4丁の銃が火を噴いて大型を倒していき、
「右の2体だけ残して左のは全部倒してくれ」
その通りにサクラ、マリー、ランディ、そしてリンドウのスナイパー銃で大型を次々と倒していく。その頃には小型は全て倒されていて地上でマシンガンを乱射していた4人は廃墟の2階に上がってきて腹這いになって近づいてくる2体の大型をスコープを通じて見ていた。2体だけになった大型機械獣は一直線に廃墟を目指して進んできている。1体は背中に1丁のマシンガン、もう1体は2丁のマシンガンを乗せている。
スナイパー組の4人はスナイパー銃を持って構えたままだ。
「2体は最後に俺とランディで倒す。背中の状態を見たいから頭部を吹き飛ばすぞ」
「了解だ」
リンドウの言葉にすぐに返事をするランディ。
「本当に背中に2丁積んでる。距離1,400」
「どの距離で撃ってくるかだな」
ヤナギ。
「距離1,200」「1,100」「1,000」
端末で録画をしながら距離測定をしているエリンの声を耳から聞きながらスコープを覗いていると、
「距離900」
その声と同時に背中に2丁背負っている機械獣の1機のマシンガンから銃弾が飛び出した。少し前まで地上チームがいた廃墟の塀に銃弾が当たる音がする。
「正確な射撃だぜ」
「あそこにいたら危なかったわね」
「距離700」
この距離で今度は2体の大型機械獣がマシンガンを連射した。さっきよりも大きな音が廃墟の塀からして来る。そして
「距離500」
ここで2丁背負っている大型は動きを止めるとその場で2つのマシンガンから連射を始めた。1機はそのまま前進してくる。
マシンガンは2階ではなく1階を集中的に乱射してきている。そうして全弾打ち尽くしたのか再び前進を始めた。
背中に1丁だけのマシンガン獣の挙動は以前と同じだ。それを確認してからリンドウとランディのスナイパー銃が火を噴いて2体の大型の頭部をきれいに弾き飛ばして戦闘不能にさせた。
「周囲に敵影無し」
エリンの報告を聞いてようやく伏射の姿勢から起き上がったメンバー。
「500で乱射してきやがったな」
「しかも正確だ。以前ほど盲撃ちになってないぞ」
「1丁だけの大型機械獣のマシンガンも正確だったな」
そんな話をしながら装甲車に乗り込んで最後に倒した2体に近づくとその背中のマシンガンを見る。
「完全に固定式になってる。だから上には撃ってこなかったんだ」
サクラが機械獣を見て言うが、
「そうは言ってもよ、今後進化したら後ろ足を落として角度をつけることを覚えたら上にも撃ってくる様になるぜ」
「スティーブの言う通りだ。しかも射撃の精度も上がってる。ますますやりにくくなるな」
そう言ったリンドウはエリンを見て
「回収屋は?」
「今手配した。今日は巡回していなくて明日の朝一番で前線基地から来るそうよ。だから今日はここで野営ね」
周囲の状況を確認してから廃墟に戻ると野営の準備をするメンバーと見張りのメンバーに分かれる。リンドウは装甲車の中でエリンと2人でツバキと話をする。
『見ていたわ。かなりの脅威ね』
『ええ。射撃も正確だし銃弾も増えてる見たい。詳しいことはそっちに持って返ってから調査したらわかるでしょうけどマシンガン1機あたり100発程撃てる様になってるわ』
『情報分析本部ですぐに分析してもらう様にハンター本部からも依頼してもらうわ。明日の回収チームが来るまで気をつけてね』
そう言って通信が終わった。
その後は装甲車ごとに交代で夜の見張りをする。装甲車のレーダーには時折機械獣が映るがこちらに向かってこないのは無視して警戒を続けて翌日の昼過ぎに守備隊の回収屋が機械獣を2体トラックに積み込んで戻っていったのを確認してからAランクの8人も都市国家に戻っていった。
D門を潜って市内にはいるとそこで待っていた職員からハンター支部に向かって欲しいといわれ車を乗り換えるとそのまま8人で支部の会議室に入っていくとそこにはツバキと職員がハンター達を待っていた。
「ご苦労様。相変わらず完璧にミッションをこなしてきてくれるわね。助かるわ」
職員が端末を操作すると各自の端末にミッションの報酬と終了通知が入ってきて、それに同意して返信するメンバー。全員の同意が取れると
「カメラで見てたけどもう一度詳しい報告をお願い」
ツバキの言葉にうなずいたエリンが代表して報告する。その報告を黙って聞いていたツバキと職員。エリンの報告が終わると、
「正直かなりの脅威になるわね」
そういうツバキの表情は曇っていた。背中に2丁マシンガンを背負う大型機械獣、しかもその攻撃の精度が上がっており、かつ900メートルで攻撃してくるとなるとBランクでは対応仕切れなくなるからだ。
「他の地区からも同じ様な報告は上がってるのか?」
ヤナギが前に座っている2人に聞く。
「今確認中だ。過去の例からだとほぼ同時期に新種の報告がきているから今回もおそらくどこかの地区から報告が上がっている可能性がある」
職員が状況を説明する。その後も支部の質問にハンターが答える形で報告は進んでいき、一通りのやりとりが終わったところで今回のミッションは終了となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます