第54話 襲撃
D組のハンター達は予定通り2週間後の昼間に巨大廃墟に到着した。C組の連中がこれで帰れるぜと喜んでいる中、ヤナギとランディはC組のケインとイアンから引き継ぎを受ける。
「守備隊のやつら山ほど銃弾を持ってきている。装甲車の上のマシンガンの弾丸もまだまだ余裕がある。あと3、4回大規模な攻撃を受けても大丈夫な程にな」
ケインが装甲車の上のマシンガンを叩きながら言う。
「そりゃ助かる。弾切れが心配だったんだ」
ヤナギが答える。それからイアンとランディを交えて4人で機械獣との戦闘についても説明を受けた。
「この廃墟は右の塀が壊れているからそこからも一部入ってきた。ただメインは外側からだった。俺達は内3、外7の比率で人を配置した。いい感じだったぜ」
「なるほど。じゃあ俺たちも3:7で振り分けよう」
その後も細かい引き継ぎをしてから、ケインがヤナギに
「それにしてもリンドウはいい読みしてたな。正直言って事前に外に7割のハンターを配置していなかったらどうなったか分からない。助かったぜ」
「だからあいつはAランクの中でもトップランカーなんだろう。断片的な情報から事実を積み上げていくのが天才的に上手い」
「D地区に戻って奴にあったら礼を言っておいてくれ、おかげで助かったってな」
「わかった」
そうして引き継ぎを終えたC地区のハンター達は1人も負傷者を出すことなく無事に任務を終えて都市国家に戻っていった。
リンドウは自分の意見をツバキに話し、彼女が支部に向かった後少し仲間と話をしてから自宅に戻ると既に本部からの通知がAランクハンターに流れてきていた。そうしてその数日後に実際リンドウの言った通りに各廃墟で外から機械獣が襲ってきたものの、準備を整えていたハンター達がそれらを全て撃退し、ハンターに1人も死傷者が出なかったと聞いて1人の部屋の中で大きく頷き、間に合ったってよかったと呟く。
「貴方のおかげよ。本部にも感謝されたわ」
ツバキの部屋の寝室で抱きついてきたツバキが耳元で囁いてくる。
「感謝はいいさ。5地区全てで死傷者が出なくてよかった」
ツバキは端末に本部や廃墟にいるAランクハンターから緊急連絡が入ると直ぐにPCで会議や打ち合わせができる様にと最近は自宅とオフィスを往復しているだけだ。リンドウの家にももちろんPCはあるが、本部や他の支部長らとは回線をつないでいない。なので何かあったらすぐに打ち合わせに参加できる様にと自宅にリンドウを呼んで今はこうして2人で全裸でベッドで横になっている。
「毎日オフィスと自宅を行ったり來たりだけでストレスが溜まってるのよ」
「俺で良かったらいつでもそのストレス解消に協力するぜ?」
「俺で良かったらじゃなくて貴方でないとダメなの」
今も満足した表情でリンドウに寄り添っているツバキ。リンドウはツバキを腕枕しながら天井を見て、
「あと2週間弱だな」
「ええ。何もないといいけど」
そう言うとリンドウにしがみついて
「今日は泊まっていって」
「わかった」
D組が廃墟についてから2週間の間に2回の大規模な機械獣の襲撃を受けたがいずれも全て掃討した。もちろんハンター側に死傷者はいなかった。
そうしてD組が廃墟について13日目の昼過ぎに守備隊全員が地上に戻ってきた。パッと見る限り死傷者は見当たらない。今度はうまくやった様だ。
ヤナギとランディが簡単に報告をすると守備隊が車に乗り込んで順次廃墟を後にして都市国家に戻っていく。そうして最後にD組のハンター32名がそれぞれの車に乗り込んで巨大廃墟を後にしミッションは無事に終了した。
全ての地区でハンター達が無事に全員帰還したことを端末経由で知ったリンドウや他のAランクハンター達。
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