第51話 マヤ

 リンドウが銃を使い始めて5日後、鍛錬を終えたリンドウが自宅でシャワーを浴びて部屋で寛いでいると端末にメッセージが入ってきた。スコープの改良版ができたらしいのでお持ちしたいという。マヤからの連絡だ。OKの返事をすると今から伺うと返事がくる。わかったと返事をしてから全裸だった身体に迷彩服だけを身につける。


 しばらくしてマヤが家にやってきた。今日もスーツ姿で眼鏡をかけ、黒い髪はピンで止めている。部屋にあげるとケースを取り出して新しいスコープを見せて


「リンドウさんのアドバイスに基づいて視野をこの前のより12%広くしました。見てください」


 リンドウは狙撃銃を持つとまずは今まで使っていたスコープで窓の外をみる。そして新しいスコープを次に見ると、


「こりゃすごい。広さが全然違うな。しかもクリアに見えている。大したもんだ」


 そう言いながらスコープを覗いたまま外から部屋に顔を向けて部屋の中を見ると、スコープの中にマヤが映る。マヤは立ってリンドウを見ながらスーツのジャケットを脱いで中の白いシャツのボタンを外しているところだった。

 リンドウはスコープを外して直接マヤを見る。リンドウがじっと見ている中ボタンを外すとブラウスを脱いで黒のブラを見せつけて、そしてスカートを足元に降ろした。黒のTバックのショーツと黒のブラ。着痩せするのか下着姿になった女のスタイルはなかなかだ。胸も突き出ているし腰はくびれ下半身がまた盛り上がっている。


 無言で眼鏡を取り、頭のピンを外すと首を大きく左右に振って髪を流した。想像もつかなかったいい女が現れた。


「これはびっくりだ。いい女じゃないか」


 マヤは淫蕩な笑みを浮かべながらブラを取り、そしてショーツも脱いで全裸になると見事な肢体をリンドウに晒して、


「お気に召したかしら?」


「眼鏡がない方がいいな」


 全裸でリンドウに近づいてきて


「あれは伊達メガネなの。仕事中だけ。それより、抱いて下さる?」


 リンドウは全裸の女の手を取ると寝室に連れ込んだ。


 2時間後、リンドウの寝室に女の喘ぎ声が響いている。


「また逝っちゃう!」


 背後から貫かれてそのまま行かされたマヤがベッドに倒れ込んで荒い息を吐いている。失神しては貫かれ、また失神する。何度逝かされたかわからないほどの連続絶頂に最後は訳がわからなくなっていた。


 リンドウが寝室からリビングに移動してソファでミネラルウォーターを飲み干してベッドに戻ると失神から覚めたマヤがリンドウに抱きついてきた。


「こんなの初めてよ。凄かった」


「外見と裸とがここまで違う女は俺も初めてだったよ」


「普段は相手に女を意識させない様にしてるの。こんな仕事をしてるとハンターや防衛本部の兵士からしょっちゅう声をかけられるから普段はわざと地味にしてるの」


「俺は違ったのか?」


 そう言うとぎゅっとリンドウを抱きしめて


「貴方を見た瞬間に股間が熱くなったの、抱かれたいって。こんな感覚は初めてだった。強い男に惹かれるのよ。強い男じゃないとダメなの」


 そう言ってから


「そうしてこうして抱かれたら最高だったわ。今までのセックスは何だったのって感じ」


「そりゃありがとうよ」


「ねぇ、これからも時々抱いてくれる?」


「もちろん」


「嬉しい」


 しばらくそうして余韻を楽しんだ2人はリビングでジュースを飲みながら銃の話をする。


「あの銃は狙撃銃というよりロングレンジライフルとして売り出そうかと開発されたの。というのは銃自体が重かったでしょ?」


「確かに女性ハンターじゃ厳しいかもしれない。俺は平気だ。ただロングレンジライフルとしたら射程距離はちょっと短いな」


「だからターゲットはBランクの中〜上位者に絞り込んでたの。ベテランのBランクなら何とか買える価格設定にしてね。でもあれを純粋に狙撃銃として使用するとは思ってなかったわ」


 全裸の身体にバスタオルを巻いているマヤがジュースを飲みそしてリンドウを見る。


「Aランクの狙撃銃をメインにしてる奴らは買うだろう。普通の連射タイプの銃が1,000以下だ、1,500で確実に仕留められるならその価値は大きい」


「なるほど。となるとこの銃はBランクの中位者からAランクの狙撃者がターゲットになるってことね」


「そうなるな。ハンターランクによって使い方は変わるだろうが。ある意味万能に近い銃だ。ちなみに販売価格はいくらを想定しているんだ?」


 マヤがその金額を口にすると、それなら買う奴が多くいるだろう。少し高めだがそれに見合った性能になっていると言う。


 その言葉を聞いて仕事の目になったマヤ。自分の端末に今のリンドウの言葉を打ち込んでいく。それを見ながらそうだ、とリンドウは思い出し、自分のロングレンジライフルをケースから取り出した。それを見たマヤがびっくりする。


「この銃を使ってるの?」


「ああ、これが俺のスナイプ専用の銃だ。あんたとこの製品だろう?」


「そうなの、でも全然売れてなくって。社内では廃盤にして製造中止にするって話よ」


 銃に視線を送りながらマヤが言う。まさか現役のハンターでこの銃を使っている人がいるとは思っていなかったのだ。


「武器屋のサムからその話は聞いた。俺はこの銃が好きだ。3,000メートル以上で標的を打ち抜くことができる。廃盤になるって話を聞いたからサムの店から在庫品を買い取ったのでここには今全部で3丁ある。正直これがなくなると非常に困る。これ以上の長距離砲は無いからな」


「3,000メートルのスナイプ。出来るのは貴方くらいじゃないかしら」


「3,000メートル先で大型機械獣を1発で倒せるメリットはでかい。できればこれは廃盤にはしてほしくないところだ」


 マヤは目の前の男なら普通に3,000メートルスナイプをやるだろうと確信していた。噂で聞いてた以上の銃の腕前だ。ゴーグルにも金をかけている。これがAランクの中でもトップに位置するハンターなんだと。銃については最悪は図面から起こして特注品にして作ってあげればいいかと考えていると、


「そして銃は3丁なんとか抑えたが、弾丸が製造中止になったら非常に困るんだよ」


 本当に困った顔をするリンドウ。銃を構えている時の表情とは全然違う。その表情をみてまた身体が熱くなってきたマヤ。ソファに座って足を組み替えながら、


「実は弾丸についてはその弾丸を使える他の銃を開発中なの。銃の射程距離は落ちるけど威力を増している銃ということでもうすぐ試作品がでるはずよ。それが上市されたらそちらの銃用の弾丸としてこの弾丸は引き続き生産するわ」


 リンドウの顔が明るくなる、


「そりゃいい情報だ。俺はこの弾丸だけが心配だったんだ」


「私の情報がお役に立てて嬉しいわ。だからまたご褒美を頂戴?」


 そうして今度はソファのリビングで再び抱き合う2人。最後は絨毯の敷かれた床の上で大きな喘ぎ声を出して失神してしまったマヤ。


 日がたっぷりと暮れた頃にようやく服を着替え終わると


「また連絡させてもらうわ。もう他の男じゃ満足できなくなっちゃったから」


 そう言って玄関でリンドウの唇に自分の唇を押し付けて長いキスをしてマンションを出ていった。

 

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