それで何故、謝れば許されると思えるのです?
「
「っンな‼︎」
私の宣言に表情が固まる王子たち……いや、傾国の罪人に堕ちた者たち。
彼らは近付く多数の足音とガチャガチャと金属が擦れて響く音が耳に届いていないようだ。
「「「聖女様‼︎」」」
国王と宰相と大臣たち……この場にいる罪人の父親が揃って駆け込んできた。
そして、荒らされた聖廟に言葉を失った。
「お前たち!」
中の一人が自身の息子の姿を見つけたのだろう、咎めるような声をあげた。
近衞騎士団の隊長、でしたっけ?
大きな身体でそれに相応しい大きな声に罪人たちが文字通り飛び上がった
「聖女様……申し訳ございません。ですが、どうか、どうかお怒りを鎮めて……」
「『後顧の憂いを断つため』との理由で私たち聖女の家族を皆殺しにして私たちをこの地に縛りつけただけでは飽き足らず、聖石を足蹴にした上に先代の眠りを妨げるという暴挙。それで何故、謝れば許されると思えるのです?」
私の言葉に罪人たちが驚きの表情を見せた。
それは『聖女の家族を皆殺しにした』という事実を私が言ったときだ。
第三王子も知らなかったの?
彼らを冷ややかに見ると、全員が顔をそらした。
そう……私たち聖女は『逃げ帰る場所を失わせる』という目的から、目の前で家族を皆殺しにされてきた。
私も両親に祖父母、兄姉弟が殺された。
先代は領主の娘だったこともあり、家族だけでなく使用人たちまで皆殺しにされた、と聞いた。
それほど厳しいのは、娘を聖女として連れて行かれた家族が
─── そして、聖女様奪還は成功した。
追っ手が差し向けられたが、聖女様とその家族はすでに他国へと逃亡して行方がわからなくなった後だった。
その混乱で当代の聖女様は次代の聖女様を逃した罪を問われたが、祭祀場で皆の前で祈りを捧げていたため次代の聖女とは別行動だった。
それは誰もが……祭祀場にいた王族や貴族、国民全員が証言者だった。
反乱の鎮静に三年もかかったのは、罪を問われた聖女様が地下牢に囚われたため祈りを
大地の恵みも、太陽の恵みも、川の恵みも。
すべてが半減して植物も穀類も果樹もすべてが朽ちた。
国を覆っていた結界が役目を放棄したため、それまで現れなかった凶暴な魔物や魑魅魍魎が闊歩するようにもなった。
─── 奴らのエサは人間だ。
反乱の鎮静よりも、聖女様の祈りが切れたことで本来の強さを取り戻した魔物や魑魅魍魎の討伐に時間がかかったのだ。
そして新たな職業『冒険者』が誕生した。
冒険者の誕生により、兵士たちは反乱の鎮静だけに意識を集中させることができるようになった。
魔物や魑魅魍魎に家族を、大切な人を、故郷を奪われた人たちも反乱に加わっていった。
さらに枯れて逝く大地に絶望した人たちも王都へ王城へと向かっていった。
彼らは武器を手にしていない。
聖女様に救いを求めて行進をしたのだ。
各国の歴史書には『静かなる行進』『
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