第27話 リンと極限の世界
「娘さんの症状に劇的な快復が見られました」
背もたれのあるイスに座った白衣の男の言葉に、対面にいた女性は目を大きく見開いた。
「本当ですか先生! それじゃあ、娘は……助かるのですか⁈」
思ってもいなかった言葉に、母親と思しき女性は、声のトーンを上げながら、イスから立ち上がり医師に詰め寄った。
「お母さん、落ち着いてください」
「おまえ、止めなさい。先生が話せないじゃないか」
「だってあなた、このままじゃ長くは生きられないかもって言われていたあの子が……」
母親の隣に座っていた父親は、医師に詰め寄る妻を止めようとすると、母親はうつむき涙を流しはじめた。
父親は母親の肩に手をおき、落ち着くまで軽く抱きしめる。数分の後、ようやく落ち着きを取り戻した夫婦はイスに座り直し、あらためて医師から娘の症状について説明を受ける。
「先生、症状が快復されたのなら、娘は助かるのですか?」
「結論からいうと、治ったわけではありません。ですが症状は劇的に緩和されつつあります。とくに過密集中による無呼吸症候群は抑えられ、自動心配器を取り付けなくてもよいくらいにまで、快復が認められました」
「じゃあ、娘は他の子と同じように普通に生きられるの⁈」
「おそらくはとしか……なにぶん娘さんの症状は、今まで報告されたことのない症例です。どの範囲で完治と言っていいのかわかりません。ですが、間違いなく言えることは、今の状態を維持できるなら、長く生きていけます」
「良かった。娘は生きられるのね」
医師の言葉に母親の瞳に涙が浮かび、それを見た父親は妻の手を握る。
「先生、質問があります。娘の症状が快復されたことはわかりました。ですが、今の状態を維持とは?」
「それなのですが……実際のところ、いまの医学では娘さんの病気を治すことは難しく、対症療法も見つかっていません」
「それは何度も聞いています。娘は異常なまでの過密集中により、本来なら意識しなくて行える自発呼吸が止まると……」
「そうです。意識を集中することで、娘さんの脳はゾーンと呼ばれる極限の集中状態に切り替わります。他の感情や思考、外部から入る情報を排除し痛みや苦しみから解放され、圧倒的身体能力とハイレベルなパフォーマンスを発揮する状態になります」
「たしか、一部のトップアスリートや、一流のスポーツ選手はゾーンを体験していると……」
「ええ、ゾーン自体は昔からあると言われていますが、いまだそのメカニズムは解明されていません。一部の天才と呼ばれる人が持つといわれるものを娘さんは持っていました」
「本来ならば喜ぶべき神からの
「そうです。娘さんの場合、あまりにも過密に集中するあまり、本来なら止まらない自発呼吸を止めてしまいます。そして体が呼吸困難で危険
「脳が酸欠状態に陥り窒息死してしまう。だから、いつ呼吸が止まってもいいように、常に自動呼吸機を着けなければならないなんて…… うちの娘が何をしたというんですか⁈」
母親は誰にぶつけるでもなく、怒りを露わにしていた。
「技術の進歩で呼吸器はかなり小型化したと聞いています。ランドセル並の大きさの機械を背負えば生きていけると説明は受けましたが、そんなものを娘は一生着けなければならないとは、こんな呪われた
父親は手を力一杯握り込み、神に怒りをぶつける。
「お二人とも落ち着いてください」
医師は夫婦をなだめ、落ち着きを取り戻すまで待つ。
「取り乱してしまい申し訳ありません。一生あのままだと言われたことを思い出して思わず……」
「いえ、お気持ちはお察しします」
「それで先生、娘の症状はなぜ快復されたのですか?」
「はい。それなのですが、先週から娘さんの病室に新しい子が入院しました」
「その子もまさか……」
母親は、娘と同じ病室に入院したと聞いて嫌な予感を覚えた。
「申し訳ありません。患者さんのプライバシーがありますので、お答えできません。ですが、その子が入院した日から、なぜか娘さんの症状は緩和され、今では無呼吸の症状はおろか過剰な集中も見受けられなくなりました」
「それは偶然じゃないのですか? たまたま娘の症状は別の要因で治ったのでは?」
「私も最初は半信半疑でしたが、確信に変わったのは検査のために病室から娘さんが移動してしばらくたったときです」
医師は手にしたポールペンで額をかき、困った顔をしていた。
「娘さんの過剰な集中が再び始まり、それにともない無呼吸症候群もまた起こりました。症状は軽かったため、検査を取りやめすぐに病室に戻ったのですが……病室に戻ると同時に過密な集中は再びなくなりました。これは娘さんに取り付けた、バイタルサインからも確認できています」
「そんなことが……」
夫婦は不可解な現象に、眉をひそめる。
「原因はわかりません。これは仮説ですが、同室に入院した子と……波長というか、何か精神的に合うものがあり、過剰な集中から解放されたのかもしれません」
「では、娘はその子といれば普通に生きられると? そんな馬鹿な話が⁈」
「馬鹿な話ではありますが、現に娘さんの症状は緩和されています。今後、一緒に過ごしたとして完治するかはわかりません。ですが、少なくともこれ以上、悪化することはないと思います」
医師の言葉に、母親は意を決して尋ねる。
「娘と同室に入院したということは、その子も娘と同じような病気ということでしょうか?」
「お答えはできません。ですが……その子もまた娘さんといることで、症状が緩和されているようです。二人は一緒に過ごすことで、普通の人と同じように生きられる可能性は高いです」
「……その子に会ってみても?」
「ええ、同室ですので問題ありません。たぶん今日も……」
「今日も?」
医師は何かを思い出し、『ぷっ!』と吹き出していた。
「すみません。とにかく病室に行ってみましょう。話はそれからでも」
「はあ、わかりました」
夫婦へ訳もわからず、医師と診断室を後にすると、愛娘のいる病室へと移動する。
「あなた……さっきの笑いは、なんだったのかしら?」
「わからん。だがあの子の病気が治るのなら、なんだって構わない」
「そうね。それにしても同室の子か、この脳神経専門の大学病院にいるのなら、普通の病気じゃないわよね」
「シッ、滅多なことをいうものじゃない」
「ごめんなさい。あの子と同じように苦しんでいる子がいると思ったら……」
母親はうつむき、うつろな瞳で虚空を見つめる娘の姿を思い出す。過密集中を防ぐため、極力考え事をしないようという言いつけを守り、ロボットのように振る舞う娘は、そのうち感情すら表に出さなくなった。ここ数か月は、笑った顔を見たことがない。
感情はおろか思考すらも抑止して、死んだような目になりながら、ただ生かされる娘……そんな子と同じ境遇の子どもがいると思い、母親は思わず同情していた。
夫婦はお互いの手を強く握りしめ、病院の通路を急ぐ。そして娘のいる病室の前に来たとき、夫婦の耳に歌が聞こえてきた。
まいごのまいごのこねこちゃん
あなたのおうちはどこですか?
おうちをきいてもわからない
なまえをきいてもわからない
にゃんにゃん にゃにゃん にゃんにゃん にゃにゃん
ないてばかりいる こねこちゃん
いぬのおまわりさん
こまってしまって わんわん わわん わんわん わわん
半開きになった病室の中から、しっかりとした音程で歌う子どもの声を聞き、夫婦は互いに目頭を熱くする。それはここ半年の間、聞くことがなかった娘の歌声を聞いたからだった。
医師と夫婦は病室の前で立ち止まり、開いた扉から中の様子をそっとうかがう。
「わ〜、お歌じょうず〜、すご〜い♪」
「そう……ありがとう」
パチパチと手を叩く黒髪の子と、ポニーテイルの女の子は恥ずかしそうにはにかんだ。
「ね〜ね〜、この犬のお巡りさんってお歌、子猫ちゃんはどうなるの?」
「知らない。お母さんからはここまでしか歌ってもらえていないから……」
「え〜、そうなの? 続きが気になるね。可哀想な犬のお巡りさん、どうなっちゃうんだろう?」
「なんでお巡りさんが可哀想なの? このお歌、子猫ちゃんの方が可哀想なんじゃ?」
「だって、悪い人と間違われて、子猫ちゃんに泣かれちゃったんでしょう?」
「えっと、これは迷子になって、お母さんと離れ離れになったから、寂しくて泣いているんじゃ?」
「そっか〜、そうすると子猫ちゃんが家にちゃんと帰れたか、気になるね。……そうだ! 私が続きを考えて歌ってもいい?」
「別にいいけど」
「わ〜い。ん〜、そうだなあ。こんなのどうかな?」
すると、今度はおっとりとした口調の声が、部屋の中から聞こえてきた。
まいごのまいごのこねこちゃん
ポッケのスマホからコールオン
おかあさんからのコールオン
いそいで電話に出てみたら
にゃんにゃん にゃにゃん にゃんにゃん にゃにゃん
うれしくて泣いちゃうこねこちゃん
いぬのおまわりさん
こねこを見送って わんわん わわん わんわん わわん
「どう?」
「いやいやいや、なんでこねこちゃんがスマホもっているの⁈ あと、お巡りさんは、子猫ちゃんを見送るだけ? 一緒にいかないの? どうやって、子猫ちゃんは帰ったの?」
「やだな〜、……スマホもっているから、地図ソフトのギリギリMAPを使って帰ったにきまってるよ」
「待って! ギリギリMAPが使えるなら、最初から迷子にならないよね⁈」
「ん〜、使い方が分からなくて、お巡りさんに聞いたとか?」
「お巡りさんなんだから、使い方がだけじゃなくて、せめてお家まで一緒にいこうよ!」
「仕事が忙しかったのかも?」
「子猫ちゃんを無事に送り届けるのも仕事でしょう! まったく……フフフ」
感情を露わにしながらも、大きな声で楽しそうに話す娘の声を夫婦は聞き入っていた。
「ぷっ、今日もやっていますね。ここのところ、起きてから寝るまでずっとあんな感じなんです。たわいのない話なんですけど、聞いているとおかしくて、思わず笑ってしまいます」
「ええ、とても微笑ましい。私も聞いただけで思わず、笑ってしまいそうになりました」
「本当、楽しそうに話している。娘の笑い声なんて久しぶり……」
夫婦は涙を流しながら寄り添っていた。
「まずは娘さんとお話をしてみてください。今後のことはそれから話しましょう」
「はい。先生、ありがとうございます」
医師は半開きになった病室の扉をノックしながら中へ入り、夫婦はその後に続いていく。病室の入り口には、『犬飼 鈴』と『神先 遥』の名前が掲げられていたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「これ……まだ、クエストが終わっていない⁈」
ハルカの声にコタロウは剣を抜きながら、後ろで死んでいるはずの
「リン!」
ハルカがリンに警告の声を掛けた瞬間、ご主人様の壁となるべくコタロウは前に出て剣を構える。
必死にリンたちを守ろうとするコタロウをあざ笑うかのように、カオスドラゴンの死体は、まばゆい光を放ち、大爆発を起こした。
今までのリアクティブアーマーの爆発など、比較にならないほどの爆炎とウロコを解き放つ。
一方向ではなく、全方位への攻撃にコタロウは選択を間違えた。だが時はすでに遅く、広間の中をすべて焼き尽くそうと三百六十度余すことなく爆炎とウロコが広がっていく。
「クマー!」
その時、広がる爆発をみたクマ吉はリンに向かって倒れ込み、ハルカを巻き込んで下敷きにする。
「クマ吉!」
リンの呼び声が聞こえた瞬間、クマ吉の体を凄まじい熱と衝撃が襲った。クマ吉の装甲に硬いウロコが次々と突き刺さっていく。
全身をズタボロにされながらも、クマ吉は爆風に飛ばされないよう必死に四肢を踏ん張っていた。
「クマ吉、耐え切ってくれ!」
とっさにクマ吉がリンに倒れ込み守る姿を見たコタロウは、剣を地面に突き刺し盾がわりにすると、身を低くして爆炎とウロコからその身を守る。鋼鉄ボディーに、いくつかのウロコが突き刺さるとウロコは爆散し、更なるダメージを与える。
「くっ、ウロコが爆発するだと」
クマ吉は撃ち出されたウロコを最小のダメージで切り抜けようと、右手を犠牲にして受け止める。次々に撃ち込まれたウロコが爆発し、クマ吉の右腕は吹き飛んでしまう。
そして爆炎とウロコが広間の中を蹂躙し終えた時、何事もなかったかのようにカオスドラゴンの死体がノソリと立ち上がるとコタロウに襲い掛かった。
「グォォォォ!」
「やはり生きていた、いや生き返ったのか⁈」
蘇ったカオスドラゴンの姿を見るいなや、コタロウは横へ走り出していた。それを見た狂竜は。猛突進しながら凶々しい爪を騎士へ振るう。
「速い。だが、見えるぞ!」
コタロウは横に避けながら、カウンターで一撃を与えようとする。鋼鉄の騎士剣を、爆発によって全身のウロコを失くした狂竜の腕へ素早く打ち下ろす。
リアクティブアーマーの役目を果たすウロコがない地肌に打ち込まれた剣……だが、剣は『ガン!』という硬いもの同士がぶつかる音を立てながら弾かれてしまう。
「硬い! さっきまでと違う⁈」
「グオオオ!!」
驚く暇もなく狂竜の反撃が襲いかかる。リーチの長い尻尾と首を振るい、コタロウを食い殺そうとカオスドラゴンは口撃を繰り出す。騎士はギリギリのタイミングで、攻撃を避けながら剣を打ち込むが、すべて弾かれてしまう。
互いに決定打が打てないまま時間だけが過ぎていくと思われたとき、停滞する戦況に変化が現れる。カオスドラゴンのウロコが徐々に生え再生をはじめたのだ。
「マズイ、またあの大爆発をされたら……ムッ! いかん!」
チラリとうつ伏せて横たわるクマ吉に視線を向けた先には、クマ吉の下から這い出るハルカの姿が見えた。当然、その後に続くのは……その一瞬をカオスドラゴンは見逃さない。
「しまった!」
ほんの一瞬、コタロウの意識がリンに向いた刹那の時間に、カオスドラゴンはコタロウの胸に向かって禍々しい爪を繰り出していた。
防御は間に合わない。そう判断したコタロウは、とっさに後ろに飛び、回避しようとする。今までの攻撃スピードからギリギリ避けられる。そう判断しての回避だったが、その予想は裏切られカオスドラゴンの爪は、まるでロケットのように加速した。
「ぐはぁ」
ヒジに生えウロコが爆発し、狂える竜の攻撃が加速する。コタロウはとっさにガードするが、間に合わない。恐るべきスピード放たれた爪が騎士の鎧を直撃し、鋼鉄のボディーを貫いた。
「こいつ……私の技を……」
復活したカオスドラゴンは、コタロウが見せた緩急をつけた攻撃を自らのものとし、お返しとばかりに繰り出していた。
リアクティブアーマーを自在に爆発させる新たなる能力を併用し、すぐさま戦いに転用してきたのだ。
「獣と侮って、油断した。不覚……ご主人……すまない……」
コタロウの瞳から光が消え、力を失った手から剣がこぼれ落ちる。
そして広間の中を風が吹き抜けた。爆発によって舞い散る粉塵が風に流されて辺りの視界が晴れたとき、カオスドラゴンの前に二人の少女が姿を表す。
「グォォォォォォォ!」
その姿を見たカオスドラゴンは、どうだと言わんばかりに勝利の雄叫びを上げていた。
「……」
「コ、コタロウ……」
リンは体を貫かれ、力なくカオスドラゴンの爪にぶら下がるコタロウを呆然と眺めていた。
その顔を見たカオスドラゴンは、嫌らしく笑い、その爪に突き刺したモノをリンの前に投げつける。『ドン!』という音と共に地が揺れ、少女の前に硬いモノを投げつけられた。
リンは足元に横たわる騎士を見て、瞳に涙を浮かべる。するとコタロウだったモノの体が光り、徐々に光の粒子に変えていく。それはゲーム内でモンスターを倒した際に発生する光景にソックリだった。
「ダメ……ダメだよ、コタロウ!」
リンは必死に叫びながら足元にしゃがみ込み、コタロウだったモノに抱きつく。それはどこにも行かせないと言わんばかりに、力いっぱい抱きついていた。
だが、そんなリンの願いも虚しく、騎士の体を光の粒子へと変わっていく。少女の抱く手をスルリと抜け、コタロウは跡形もなく消え去ってしまった。
「コ、コタロウ……ウソだよ。だって、無敵の鋼鉄ボディーだもん。どんな攻撃だってヘッチャラで、私のピンチの時にはいつも助けてくれる
「……」
「今日だってMPKさんたちにモンスタートレインして……どんな攻撃だってヘッチャラで……」
「リン……」
「さっきまで私とはーちゃんとクマ吉、みんなで楽しく遊んでいたのに」
「リン、ごめん。もうコタロウは……」
ハルカは視界に端に表示されるパーティーステータスを確認する。
ハルカ HP 270/270
リン HP 125/125
クマ吉 HP 980/42
パーティーメンバーであるコタロウの表示がなくなっていた。
「わかった! また、いつもみたいにカオスドラゴンを倒すための作戦だね。死んだふりをして油断を装うやつ。わたし演技がヘタだから、作戦を知っていると、バレちゃうから隠していたんだね」
「リン……違うよ」
「え? ち、違うの? とすると別の作戦? そうだよね。わたしの考えつく作戦じゃ、あの子を倒すなんて難しいよね。ねえ、はーちゃん、どんな作戦なの? コタロウはどこにいるの? わたしもガンバルよ」
「リン! 違うの、私は作戦なんて考えていない。コタロウは……もう……」
その言葉にリンの顔は凍りつく。
「はーちゃん。冗談がうまいね……無敵のコタロウが死んじゃうわけないよ。ほら……いつもどおり『ペット召喚』すれば、魔方陣から『ワン!』って吠えて出てきてくれるよ」
リンは召喚メニューを素早く開き、いつも通りにペット召喚のボタンを押そうとするが……メニューの文字が灰色になり、押しても何も反応しない。
「あれ、変だな? いつもなら、これでコタロウを召喚できるのに……なんで?」
「リン」
「おかしいな……はーちゃん……コタロウが……コタロウが……ひっぐ……」
目の前に横たわるコタロウを見たリンの瞳から涙が流れて落ちる。
「なんで……なんでなの……わたしは、みんなと楽しく遊びたいだけなのに……なんで……うっ」
ペタンと座り込み、コタロウを失った悲しみにリンの目からポロポロと涙が溢れ出す。
「グゥゥゥ」
リンの泣き崩れる姿を見て、カオスドラゴンは笑う。家族に等しい存在の死に涙する少女を見て、愉快そうに笑っていた。
その醜悪な姿を見たとき、ハルカの頭の中で、何かのスイッチが入る……それはリンの涙をトリガーに怒りを爆発させた。
「私のリンを泣かせたな!」
頭の中がクリアーになり、思考が加速する。リンに涙を流させたクソ野郎を、完膚なきまでに叩き伏せろと心が叫ぶ。
激情に渦巻く心と裏腹に、その目は冷徹にゴミを見るような眼差しでカオスドラゴンを見据えるのであった。
いま、ハルカの意識は極限の世界……聖域へと至る。
……To be continued『覚醒』
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