ほどほど

勝利だギューちゃん

第1話

冬だ。

寒い。

昨年の暖冬が、恋しい。


雪による、犠牲者も出ている。


「こら、冬」

『何だ?』

「寒いぞ」

『だから?』

「何とかしろ」

『俺は俺の仕事をしている』


冬。

寒い。

寒くするのが、仕事。


『暖冬なら、「冬らしい仕事をしろ」というくせに』

「限度があるわい」

『わがままだぞ』

「どっちが!」


冬。

寒い。

寒くて当たり前。


「じゃあせめて、コロナウィルスを凍死させろ」

『俺の仕事ではない』

「役立たず」

『お前らで、どうにかしろ』


冬。

寒い。

暖冬でもこまるが、大雪でも困る。


『じゅあ、どうしたらいい?』

「何をだ」

『希望の冬のありかたがあるなら、それを述べろ』

「それを考えるのは、冬の仕事だ」

『俺はエスパーじゃない』


冬。

寒い。

理想の冬は・・・


「そうだな。せいぜい0度」

『ああ』

「雪は降らせない・・・あっ、でも、時々は降らせる」

『それで?』

「その雪も、1点集中ではなく、分け隔てなく、全国に」

『ふむふむ』

「でも、スキー場とか、必要地区には、降らせる」

『それから?』

「俺が、出かける時は、降らせない」


理想の冬。


なんだろう?


『でも、寒くないと、お鍋が食べられないぞ』

「それは、困る」


何事も、ほどほどがいい。

多分・・・


おそらく、そうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ほどほど 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る