第19話 山へ浄化に行こう!
みんなで少し休憩した後、みなさんはまた作業に戻って行った。私は暇になってしまったので、クッキーでも作ろうかな。
くっきーに材料とコンロとフライパンを出して貰って、クッキーを作り始める。
『サラ、美味しいの作ってくま~』
くっきーはそういうとお尻としっぽをふりふりっとご機嫌で踊っている。
(う~……かわいいよぉ、むぎゅむぎゅしたーいっ! 手が汚れてて抱き着けないのにー!)
私が作っている間、結局ずぅっとくっきーはしっぽをふりふり踊っていた。私泣いちゃうよ?!
(作り終わったらいっぱいむぎゅーってしちゃうんだからー!!)
クッキーを焼き終わったら、そろそろお夕飯を作る時間になったので鉄板に火をつけて貰う。山芋たっぷりのお好み焼き風を焼いて、味付けしたお肉も焼いていく。スープも温めてから配る予定だ。
「サラ様、鉄板はお任せください!」
「サラ様も食べて下さいね!」
「わ、ありがとうございます。みんなの分で大変だと思いますが、よろしくお願いします」
鉄板は任せる事にして、私はスープをよそってみんなに渡していく。他の人達も沢山お手伝いしてくれるので、とっても早い。そして王都から来た人にも配っていく。
みんな楽しく美味しそうに食べてくれるので、とっても嬉しい。今日だけで大分作業が進んだみたいだ。だけどまだお家の修理までは出来ていないので、まだ当分ギルドの地下でみんな過ごさないとダメみたいだ。
今日もくっきーに抱っこして貰って寝ようかな。今日はジークさんとレイナさんが近くで一緒に寝てくれた。2人も疲れちゃわないか心配だけど……。
『サラ、今日も一緒に寝るくまよ~』
「うん、お願いします!」
「サラ様、お疲れ様でした。明日は山へ浄化に行きましょう」
「サラ様、お疲れではないですか?」
「私よりもお2人の方が疲れてると思います……大丈夫ですか?」
そう聞くと嬉しそうな顔をして、大丈夫だと答えてくれた。っていうか護衛の任務ってどれだけブラックなの?! えっ、お休みは?!
今更ながらそんな事に気が付いた……これはダメだと思うの……ブラックすぎるよ?!
「あ、あの……護衛して貰っていて申し訳ないのですが……お2人の休日は?」
「休日ですか?」
「休みなしはダメですよ?! 倒れちゃったら困ります!」
「ふふっ、サラ様の護衛は全然大変ではないですから、問題ないですよ」
「問題大ありですよ!? お休み大事です!」
「ふふっ、では王都に戻ったら交代でお休みさせて頂きますね」
「絶対ですよ!」
「はい!」
「分かりました!」
レイナさんとジークさんがそう言ってくれたので、ちょっとホッとする。ブラックはいけません!
その後はくっきーに抱っこして貰っておやすみなさい。
朝はやっぱりくっきーのもふもふをすりすりしてから起きる。朝から幸せです!
「おはよう!」
『サラ、おはようくま~』
「「サラ様、おはようございます」」
「いつも遅くてすみません……」
「我々は職業柄早く起きてしまうだけなので大丈夫ですよ」
「ジークさん、レイナさん、ありがとうございます」
「朝ごはん作ってきますね」
「サラ様、もうみなさん作っているみたいですよ」
「わわっ、そうなんですね!」
急いで作業台へ向かうと、みんなスープを作ってくれていた。
「おはようございます! すみません、遅くなっちゃいました!」
「サラ様、おはようございます。大丈夫ですよ」
「私達もがんばりますから、サラ様は少しゆっくりされてくださいね」
「ありがとうございます!」
復興が始まってみんな元気が出たみたいで良かった。少しでもお手伝いが出来たなら嬉しい。今日は任せて大丈夫だというので、ジークさんとレイナさんと一緒に山へ向かう事になった。
「サラ様、良かったですね」
「本当にみんなの元気が出て来て良かったです!」
南門から外に出ると、私は大きくなったくっきーに乗って山を登っていく。ドロップ品の量が段々多くなっていく。街の近くも多かったのに、山へ登ると更に増えていく。
くっきーがアイテムボックスに仕舞いながら山の頂上へ向けて走っていく。
『うーん、これは2か所はあるかもしれないくま』
「2個も?! だからこんなに大量なんだね……」
『まずは1か所目に行くくま!』
「くっきー様、よろしくお願いします!」
くっきーが1か所目の魔石の方へ方向を変えて走っていく。その間もドロップ品が増える一方だ……。どれだけどんな魔物がいたのかと思うとちょっと怖いね……。
少し走ると、開けた場所についた。ここのドロップ品が重なるくらい大量だ。
「くっきー、ここ?」
『そうみたいくま。サラはぼくと一緒くま』
「うん、ありがとう」
ジークさんとレイナさんも一緒に魔石を探していく。くっきーがドロップ品をアイテムボックスに仕舞ってから私も地面を探していく。
ぽふん!
「えっ!?」
『くまっ!』
「「サラ様!」」
私とくっきーの後ろからぽふん! と音が聞こえた……。もしかして今、召喚された?!
「もしかして、何か召喚された??」
『そうみたいくまね! サラ、そこくまっ!』
くっきーの声に後ろを振り向いてしゃがんでみると、魔石が少し見える。
「あったね」
『待っててくま』
くっきーが魔石を掘り起こしてアイテムボックスに収納する。まさか後ろで魔物が沸くとか……怖すぎる!
「びっくりしたね」
「サラ様、お怪我はないですか?」
「うん、大丈夫! くっきーのおかげで大丈夫だよ~」
「良かったです……しかし、これだけ召喚したのにまだ力が残っていたんですね……」
『そうくまね。多すぎて召喚出来なかったのかもしれないくまね』
「なるほど……」
ジークさんとくっきーが話しているあいだ、ちょっとドキドキした心を落ち着かせる。昨日焼いたクッキーを出して少し休憩してから次へ向かおう。
「昨日また焼いておいたから食べて下さいね~」
「ふふっ、サラ様のクッキーは美味しいですね」
『なんだかぼくが食べられているみたいだけど、美味しいのくまよね!』
「ふふっ、同じ名前だもんね!」
休憩をした後は、また大きくなったくっきーの背中に乗せて貰って次の魔石の場所を目指す。
「ジークさん、お願いがあるのですが……」
「サラ様どうしましたか?」
「ここら辺で取ったドロップ品を復興に充てて欲しいんです」
「サラ様が宜しいならそのように手配しますが?」
「じゃぁ、お願いします!」
「復興にはどうしてもお金が掛かりますから、使って貰えたら嬉しいです」
「ふふっ、サラ様らしいですね」
「分かりました。ではギルマス達にそのように伝えておきます。くっきー様には倉庫に出して貰うのをお願い致します」
『分かったくまよ~。任せるくま! じゃぁ、沢山拾って帰るくまよ!』
「うん! くっきー、ありがとう」
私の思い付きで自己満足だとしても、お金はどうしたって必要だ。街の人達の助けになれればそれでいい。
「ふふっ、サラ様は街の住人達に人気がありますよね」
「えぇぇ!? そういえば、みんな様付けで呼ぶんだよね……私偉くないんだよー! って言ってもサラ様ですからって言われるんだけどなんでだろう!?」
「ふふっ、サラ様ですから」
「サラ様ですからね」
『サラだからくまね~!』
「えぇぇ!? ちょ、ちょっとみんなしてどういうことー!?」
『くふふ、だってサラは凄かったのくまよ。スープを作ったら怪我が治っちゃうし、みんなの為にご飯もドロップ品も差し出せちゃう聖女様だからくまね』
「いやいやいや!? 聖女様じゃなーいっ!」
『サラ様だから仕方ないくま~。諦めるくま~』
「なーんーでー!? 諦めない! うん、あきらめちゃダメだ!」
『サラ、無駄な努力はしないのが良いと思うくま。現実を認めるくまよ~』
「おかしい……見た目可愛いぬいぐるみくまちゃんに諭されている!?」
「ふふっ」
「でも、サラ様はそれだけの事を成し遂げたという事です。ですので、認めた方が良いと思います」
「ジークさんまでっ!?」
「そうですね!」
「レイナさんまでダメ押しなの!?」
『くふふっ』
そんな会話をしていたら、もう1か所の魔石の場所に着いたみたいだ。ここは洞窟だったので、いつものようにジークさん、私とくっきー、レイナさんの順番で中に入っていく。
くっきーが明るくしてくれて、ドロップ品を収納してくれる。ジークさんについて歩いて行くと、一番奥に着いた。
「サラ様はここでお待ちください」
「えっ!? い、一緒に探しますよ?」
「サラ様に危険があったら困ります!」
「はい……お願いします」
とうとう見てるだけになってしまった……。うん、でも色々やらかしている気がするから強くは言えなかった。少しすると、レイナさんが魔石を見つけた。くっきーがぽてぽてと歩いて行くと、魔法で魔石を掘り起こしてアイテムボックスに収納した。
ここの魔石はもう力が残っていなかったみたいだ。よし、外に出てお昼ごはんにしよう!
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