第13話 北の泉
朝目が覚めてやっぱりくっきーをもふもふすりすりしてしまう。気持ちいいよ~!
「サラ、おはようくま~」
「ふふふ、くっきー。おはよう」
くっきーにお着替えを出して貰って準備をしてから、食堂へ行く。食堂へ行くと、ジークさんとレイナさんがいた。
「ジークさん、レイナさん。おはようございます」
『おはようくま~』
「くっきー様、サラ様。おはようございます」
「おはようございます。よく休めましたか?」
「はい、元気いっぱいです!」
みんなで朝ごはんを一緒に食べる。ジークさんが言うにはまだ調べ始めたばかりなので、特に新しい情報はないみたいだ。
朝ごはんを食べ終わった後は、宿を出て北門へ向かう。北門で門番さんに手続きをして貰い外に出ると、ジークさんとレイナさんは馬で、私はくっきーに乗って洞窟へ向かう。
「ふふっ、ふわふわ~」
『サラ、寝ててもいいくまよ~』
「ありがとう。でもまだ朝だから大丈夫だよ」
『ふふ、そうくまね』
ジークさんとレイナさんの馬も恰好良い! ジークさんは黒い馬で、レイナさんのは白い馬だった。2人ともすごくステキなのです!
これで騎士の恰好をしていたらもっと恰好良いんだろうな! とうっとりしちゃいます。
でも、やっぱり乗っていると早いね。景色がびゅんびゅんと流れていく。
『くま!? ちょっと寄り道をするくま!』
「はっ!」
「はいっ!」
「何かあったの?」
『何か引っかかるくま。今まで感じた嫌な気配がするくま』
「どこかにまた魔石があるのかもしれないね」
「くっきー様、着いて行きますので案内をお願いします」
『分かったくま!』
くっきーが左の方に方向を変えて走っていく。少し走った先には泉があった。
「くっきー、この泉なんかキレイじゃないね」
『そうくまね……』
「そんな……」
「くっきー様。ここの泉は綺麗だったはずです!」
「えっ!?」
レイナさんとジークさんの言葉にびっくりする。こんなに汚れているのに、綺麗だったの?!
『ちょっと待つくま!』
くっきーが魔法を使うと、水の中から色々なものが浮かんで来た。これは、もしかして……この中に魔石があって魔物で溢れてた?!
『あったくまっ!』
「えっ? 本当だっ!」
くっきーが水の中から持ち上げた物の中に埋まっていたのと同じような魔石があった。だけど、ここの魔石は大分大きい気がする。でも、さすがくっきーだね。くっきーはアイテムを仕舞うと、さらに浄化の魔法を掛けた。
『浄化くまっ!』
くっきーが魔法を使うと、泉がキレイになっていった。
「わぁ、くっきー。凄いよっ! 泉がきれいになったよ!」
『これで大丈夫だと思うくま~』
「くっきー様。ありがとうございます」
「くっきー様、ありがとうございます。ここがこんなに汚されていたとは気が付かず申し訳ありません」
『ふふ、大丈夫くまよ~。見つけられて良かったのくま!』
せっかく綺麗になったので、ここでお昼ごはんを食べることになった。くっきーにスープとパンを出して貰おう。
「くっきー、食べたいスープとパンを出して貰って良いかな?」
『くまっ?! ぼ、ぼくが選んでいいくま??』
「うん、くっきーの食べたいので良いよ~」
あれこれ悩んで、お野菜の沢山入ったシンプルなスープと昨日作ったお肉を挟んだパンを出した。昨日作ってたの食べたかったのね。
「サラ様が昨日作っていたパンですね。さすがくっきー様ですね!」
レイナさん、何がさすがなんだろう? でも、きっとレイナさんも食べたかったんだね。レイナさん、美人さんなのに可愛いなぁ。
ご飯の準備をしたら、みんなで一緒に食べ始める。私はパンを半分こにしてくっきーと一緒に食べる。
『ハル、昨日作っていたパンも美味しいくまね~』
「ふふっ、気になっていたんだね」
『そうなのくまよ! 味見もしたいくまよー!!』
「でも、もうすぐご飯だったんだよ?」
『それくらい大丈夫なのくま~』
「ふふっ、分かったよ。今度は味見させてあげるね」
『レイナの分もなのくまよ』
「くっきー様っ!」
「ふふっ、分かってるよ。1人だけ味見させないなんて意地悪しないよ~」
『くふふ、レイナとぼくは食いしん坊仲間なのくま!』
(うん、そこえっへんってして言う事かなぁ? でもえっへん! が可愛いから良いか~)
「サラ様、どちらも美味しいですね」
「ジークさん、ありがとうございます。お代わりもありますよ~」
「ありがとうございます。少し貰って良いですか?」
「あっ、私もお願いします!」
ジークさんとレイナさんにスープのお代わりを入れて渡す。
「くっきーのおかげでここも綺麗になって良かったね」
『ふふ、良かったくまよ~』
お片付けをした後は、また大きくなったくっきーの背中に乗って洞窟を目指す。くっきーは走りながらでもアイテムを収納出来るみたいで本当に凄いね。
途中で馬達を休ませつつ進んで、1時間くらいで洞窟に着いた。やっぱり洞窟前には凄い量のアイテムが転がっている。くっきーがいつものようにアイテムを仕舞ってから、洞窟を明るくしてくれる。
くっきーから降りた私は、くっきーを抱っこして洞窟の中に入る。中に入るとやっぱりアイテムが大量に落ちているので、ここにも魔石があるんだろう。
「ここにもやっぱり魔石がありそうだね」
『そうくまね』
「探しましょう!」
「私が先頭を歩くので、サラ様とレイナは着いてきてくださいね」
「はい、お願いします!」
ジークさんに着いて歩いて行くと、一番奥に着いた。やっぱりここにここまでよりも更に多いドロップ品が転がっている。
「よし、探そう!」
みんなで手分けして探していくと、ふと壁が光った気がした。近寄ってみると……突然目の前に炎が出た!
「きゃっ!!」
『サラっ!!』
「サラ様っ!!」
「サラ様っ!?」
思わず後ろに転がってしまった……。ジークさんが私の前に、レイラさんとくっきーが私を両方から抱きしめてくれた。
「び、びっくりした……」
『サラ、何があったくま?』
「分からないんだけど、壁が光った気がするから目の前に行ったら突然炎が出たの」
「くっきー様。やはりここに何か埋まっているみたいです」
『待っててくま!』
くっきーが魔法で魔石を取り出して、アイテムボックスに仕舞った。
『サラ、これはまだ少しだけ魔力が残っていたみたいくま。だからきっと炎が出たんだと思うくま』
「えぇぇ!? そ、そうなんだ……それはちょっと怖いね」
「サラ様、お怪我はございませんか?」
「はい、大丈夫です! 驚かせてしまってすみません」
「サラ様、大丈夫ですか?」
レイナさんとジークさんにも心配をかけてしまったけど、びっくりして転んだだけなので大丈夫なんです。
「サラ様、今度から誰かと一緒に探してください」
「わかりました!」
ジークさんにそう言われたけれど、突然目の前に魔物が出たら怖い。なのできちんという事は聞くのが良いと思うのです!
『サラ、怪我はなかったくま?』
「うん、びっくりして後ろにコロンってなっただけだから大丈夫だよ」
『よかったくまぁ』
「びっくりしすぎてちょっと恥ずかしい」
『ふふっ、今度からはぼくと一緒に探すくまよ』
「うん、そうだね」
洞窟から出て、まずは王都に向けて出発する。途中の休憩の時にクッキーを出そう。私はまた大きくなったくっきーに乗って王都を目指す。
途中でクッキーを食べて休憩したりしながら進んで、2時間くらいで王都に着いた。くっきーから降りて、抱っこをして王都に入る。
今日もジークさんは王宮に報告に行ってくれている。レイナさんと私達は暗くなってきているので、宿へ行く。
宿について、すぐにお夕飯を頂いた。3人でのんびりご飯を食べてから、部屋に戻る。部屋に入って、くっきーにクリーン魔法を掛けて貰ってから、お部屋着に着替えてくっきーを抱っこしてベッドに入る。
「明日はどこに行くんだろうね」
『そうくまね~。この王都の近くは浄化出来たはずくまね』
「うんうん。次は地方の街かなぁ」
『多分そうくまね~』
明日も早いから今日はもう寝ちゃおう。くっきーを抱っこしておやすみなさい。
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