会敵27 厄介者

「あいつら新フランス軍の奴らだね」


ミアがアサルトライフルの発砲音から敵勢を判断した。

既に単車でカッとんで5分だ。もう追手もここまでは来れないだろう。


『クロエ、行きがかり上乗せちまったが何も話すな。何も聞くな。わかったな』


『理解したわ』


前方を走っていたミアが俺と並走してクロエに話しかけてきた。


「ねえ? なんで裸足なの?」


おい!絡むなよ!


俺の背中のクロエが、ミアの質問に戸惑いの表情を見せているのが、見えていなくても伝わってくる。


『シュトゥットガルトまででいいな?』


悪いがこれ以上絡めない。絡みたくない。この時代、どこから銃弾が来てもおかしくないからな。それには、まず、シナリオ外の対応には慎重になる事だ。


政府軍の特殊部隊が追う女、新フランスの奴らも追っている女。あとは何だ?諜報機関辺りが出てくればグランドスラムだ。ふざけんな。こっちは地道に稼いでいる小市民だぞ。こんな、あぶねぇ奴に絡んでスタートラインどころか命まで全部失う様な事態は避けなきゃならん。前を走るミアにしたってそうだ。俺はこいつを守らなきゃならないんだ。絶対に、こいつだけは……

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