財閥令嬢の転校生が、何故か俺を執事にしたがっている件について
C-take
第一部 陰キャボッチに指した一筋の光
プロローグ
プロローグ
俺の名前は
「じゃあ、ジュリエット役は満場一致で
文化祭実行委員の女子生徒――確か名前は
「それじゃあ次にロミオ役だけど――」
「あ、ちょっといいかな」
皇さんが塚本さんの言葉を遮るように言う。皇さんはあの皇財閥のご令嬢だから、クラス内での発言権はトップ。夏休み明けから転校してきたとは思えないほどの速度で、このクラスのヒエラルキーの頂点に君臨していた。
「ロミオ役は亮輔君がいいな~」
そうでなくても彼女は目立つ。何より顔がいい。可愛いと言うよりは美人系。やや長めの前髪から覗くツリ目がちでぱっちりとした目元。すっきりとした鼻筋。唇はリップを塗っているのかいつも艶々だ。手入れの行き届いた髪はサラツヤボブヘア。身長は女子としてはやや高めと言ったところか。世界トップクラスのモデルも裸足で逃げ出すほどのスタイルの持ち主でもある。これで目立つなと言う方が無理があるだろう。
「え?」
塚本さんの驚きの声を皮切りに、クラスの視線が俺に集まった。
「ん?」
完全に「我関せず」でいた俺は、何事かと周囲を見渡す。これほどまでに視線を集めたのは、夏休みが明けてからこれで何度目になるだろう。
当然他の女子から反対の意見が上がる。
「え~、ロミオ役は
「そうそう。隼人君の方がかっこいいし」
「俺はどっちでもいいけど、肝心の
対する俺は身長一七一センチ。顔は万人並。成績も普通。隼人とは比べるまでもない。ただの凡人だ。
「亮輔君がロミオ役じゃないなら、私はジュリエット役を降りるよ」
その一声にクラス内がざわつく。
何故皇さんが、そこまで俺に固執するのか。ことの発端は、今から少し前。夏休み終盤での出来事である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます