第241話 ブロスの能力

「まずは普通に我を使ってみろ」


「ああ」


とりあえずブロスに魔力を渡した。そこで気が付いたのだが、何をしたらいいか全く分からない。



「ブロスの能力って何なの?やっぱり兄妹だからディアの反射と似た感じなの?」


俺は悪魔が1つ持っている能力をブロスから聞いていない。そしてディア達でもブロスの能力を見た事すらないと言っていた。


「そうだな言ってなかった」


ブロスはそう言うと、エリーラの方をちらっと見てから俺の中に入ってきた。



『周りに聞かれないようにするためにここで言うぞ』


『分かった』


ブロスは聞かれないようにするために俺の中で言うそうだ。確かに1つしかない悪魔の能力を知られる事は良くないとシファも言っていた。



『ちなみに妹の能力とは全く関係していない』


『あ、そうなの?』


『悪魔は家系で能力が遺伝することは無い』


どうやらブロスは反射とは全く関係のない能力のようだ。



『俺は、傷を付けた時に能力を1つ封じるという能力だ』


『傷を付けた時?』


『ああ。それは傷の大小を問わずにだ。人間で言うところのスキルだな』


なるほど…確かにそれは悪魔相手なら最強に近い。なぜなら悪魔は能力を1つしか持っていない。つまり、傷をつけられた時点で悪魔は能力を使えなくなる。それと、確かにその能力ならディア達が見たことが無いのも納得できる。これはディアの反射と違って物理的に見ることが不可能な能力なのだから。


この能力をソフィのスキルを封じるスキルと比べると、ブロスの方が格段に強いだろう。ソフィは無条件に近付きさえすれば使えるが、同時に1つしかダメだ。それもスキル名を知っていないといけない。

それに対してブロスの能力は傷を付けるという条件はあるが、スキル名なんて知らなくてもスキルを何個でも封じることができる。

ちなみにブロスの能力では、封じるのは同時に何人でも可能だそうだ。これは直接明日に関係しない気がするけどかなり強い。



『ちなみに封じるスキルは使用頻度が高いスキルからランダムで選ばれる』


『そうか』


つまり、俺で言うと、騎乗と解体とかは封じられることはまず無いということだ。ちなみに詳しくどれくらいの使用頻度なら選ばれる対象になるかはブロスでも分からないそうだ。

何のスキルかは分からないけど、ソフィが魔力を蓄えているスキルをもし封じられたら最高だ。でも、その前にソフィに傷を負わせなければいけない。



『その封じたスキルは俺の意思で解除することもできる。解除する時は封じたスキルは全て解放される。俺が解除しなくても、最後に傷を付けてから1日経つと自動的に全て同時に解放される』


効果が1日もあるのは強い。戦っている時に逃げられたとしても大丈夫だ。そして最後に傷を付けてからということは、全てのスキルを封じた後で、能力を使わずに普通に傷を付けたとしても、そこからのカウントで1日ということだ。



『そして試した事はないが、恐らくスキルを全て封じると、次は称号も封じられるようになるだろう』


『それはいいな』


最後には傷付けた相手を素の状態にできるのだ。ただ、ソフィに対してそこまでできるかと言うと無理に近いだろう。



『傷の付け方は何でも良い。俺が取った行動で傷を負いさえすればな』


例えば俺が石を投げて、それが木に当たって枝が落ちてきて、それで頬を切ったとかでも良いらしい。ただ、俺が石を投げて、それが魔物に当たってそれに怒ってソフィに攻撃して傷を付けたとかではダメだそうだ。間接的だとしても俺が関わっていて、かつ他の誰も関わっていないのが条件だ。



『俺の能力は使っても同志にほとんど負担は無いだろう。だから悪魔憑き中は何度も使ってくれて構わないぞ』


『まじか!』


悪魔憑き中じゃないと、俺が付けた傷に対応しないのが残念だが、悪魔憑きが続く限り無限に使えるようだ。ちなみに悪魔憑きが解除しても、封じたスキルが解放されることはないそうだ。



『悪魔憑きは魔力、悪魔化は体力を消費する。どちらも精霊降臨と獣化と比べて消費は半分ほどだ』


『半分はいいな』


その代わり、悪魔憑きと悪魔化は精霊降臨と獣化と比べると少し弱いそうだ。だとしても、消費が半分になるのは助かる。



『明日は俺の体力がどれだけ持つかが勝負の分かれ目だな…』


明日は精霊使いが封じられるようであろうせいで魔力供給ができない。だから俺は魔力が無くなったら雷電纏から雷を吸収して魔力に変える。雷電纏は使うほど体力が減る。つまり、明日は体力が無くなったら獣化も悪魔化も解除され、さらに魔力も無くなるのだ。



『では早速悪魔憑きから試してみるぞ』


『ああ』


ブロスの能力の詳細も聞き終わったので、俺は悪魔憑きをやってみる。



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