第160話 作戦会議

「確認ですが、その魔族はゼロス様のレベルが99になったらやってくると言っていたのですよね?」


「うん」


確かにそう言っていた。一応ジールとユグにも確認すると、確かにそう言っていたらしい。


「でしたらゼロス様のレベルは99になる寸前で止めておきましょう」


「え?そんなことできるの?」


レベルが上がるまでの必要経験値の量はステータスでも見れないので分からない。


「ジュディー、ゼロス様のレベルが95から96になるまでに討伐した魔物の数は?」


「Aランクが102体、Bランクが61体、その他が53体」


「え…?」


なんか少し鳥肌が立ってきた。ジュディーさんは俺が倒した魔物の数を全て覚えているの?


「96から97は?」


「Aランクが154体、Bランクが70体、その他が67体」


「97から98は?」


「Aランクが219体、Bランクが82体、その他が73体」


「ありがとう、ならAランクを270体まで倒しても問題なさそうね」


普通は絶対に記憶容量の無駄遣いだ。しかし、今回はそれがいい方に働いたから何も文句は言えないな…。というか俺はAランクの魔物を倒し過ぎだ。確かによく考えると最近はAランクの魔物の数が少なくなっていた。


「ゼロス様にはエルフの防衛体制を完璧に整えてから99レベルになってもらいましょう」


「わかった」


もちろんこれに異論があるはずがない。守ってもらう立場で文句は言えない。というよりもこれが最適な気がする。



「それからやってくる魔族については私たち3人で相手します」


「わかった」


「ああ」


「…ありがとう」


3人で相手してくれるなら心強い。しかし、逆に言うと魔族はこの3人で相手しなければならないほど強いということでもある。


「そしてもしも魔族が魔物共を引き連れてきたら、その相手は私たち以外の最上位精霊と契約している者を筆頭にエルフの中でも手練の者達に対処してもらいましょう」


「本気でゼロス様を連れ去ろうとするなら、低ランクの魔物なんかいないだろうからそれでいいな」


「ティヤもそれでいいと思う」


イムが何の魔物の魔族なのかは分からないが、魔物たちにも警戒しておきたい。


「そしてゼロス様の護衛にはエリーラを付けましょう」


「確かにあいつは良くも悪くも純粋だからこそ魔族に寝返ることは無いだろうからな」


「実力には不安が残るけど…」


なんかエリーラが結構悪く言われている気がする。しかし、俺もそばにいるなら知らない人よりは知っている人の方がいい。


「問題なのはどうやって魔族が結界をすり抜けたかということだな」


「結界に異常は?」


「なかったわ」


「結界?また?」


詳しく聞くと、エルフの里には精霊樹を隠している結界だけではなく、エルフの里が外から分からなくしている結界、エルフ以外の里への立ち入りを封じる結界の合計3つの結界があるという。ちなみにエルフ以外の立ち入りを封じる結界は、エルフに直接触れていたら無効化できるそうだ。ちなみに俺は毎回魔物討伐から帰ってくる時はジュディーさんに触れて里の中に入っている。あと、里から出る時にはエルフ以外立ち入りを封じる結界は作動しないらしい。ただ、エルフの里が外からわからなくしている結界は俺が魔物討伐しているところも範囲内であるという。だから魔族がどうやって里の場所を特定したかが分からないなのだ。


「魔族は結界を無効化する手立てを見つけたと仮定して動くわ。結界は無いものとして考えましょう」


「わかったぞ」


「了解」


結界の無効化方法の問題についてはいくら考えても答えが出ないからと放棄された。


「そしてゼロス様の元にもし魔物や魔族が現れた時は自己判断で動いてもらいます」


「自己判断?」


「逃げるか戦って殺すかの判断だ」


「それかティヤ達が来るまでの時間稼ぎをするか」


この言い方からジュディーさんの中には戦うとしたら勝つということしかないらしい。そしてティヤさんが言いたいのは魔族からはそう簡単には逃げられないということだろう。


「わかった。自己判断で動くよ」


でも、これならソフィとシャナと一緒で戦いたいと思ってしまう。2人とも元気かな?特にソフィは大丈夫だよな?大丈夫だと信じたい…。


「これら全ての準備は3ヶ月以内に済ませるよ」


「そうだな」


「わかった」


俺のレベルアップがあまりにも遅いと、レベル99になる前に来てしまう恐れがあるので、どんなに時間がかかっても3ヶ月後にはレベル99にするらしい。

そしてこれから魔族に備えるための準備が始まった。

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