第109話 代表戦最終日

「よ、よって?3日目午後の部!勝者!武国ガラテイン!!」


ベクアとエリーラの試合が終わった。この試合は俺がベクアと戦うために必要な情報を集める事ができた。特にベクアの氷の鎧は魔法に対しての耐久力が弱いというのが分かってよかった。



「では私達も帰って作戦を練りましょうか」


「そうだね」


俺達は宿に戻った。そして今度は夜に俺の部屋にやってきたのはソフィだけだった。


「あれ?ソフィだけ?」


「はい」


理由は分からないがどうやら今日はソフィだけやってきたようだ。


「まずゼロ兄様は精霊王を使うことができますか?」


確かにユグと精霊魔法を使ったらとてつもない威力になるだろう。それこそベクアを一撃で舞台から消しされるくらいに。


『ユグ…』


『無理だよ!』


『は、はや…』


今はユグとジールも俺達の会話を聞いてもらってはいるけど、せめて俺が直接聞くまでこたえをいうのは待ってほしかった。


『あっ!でも、魔力全部使って身体が木端微塵に爆発してもいいとしたら使えるよ?』


「ユグと精霊魔法は使えないみたいだよ」


「そうですか…」


要するにユグを使うと自爆することになるってことだよね?ベクアを場外に出すために俺も死んで場外に出るのは正直嫌だ。そんなことしたらベクアにも怒られそうだ。あと実際無事だとは言えそんな死に方はしたくない。


「でしたら明後日は雷での精霊魔法を主体にしてベクアに近付かれないようにしましょう」


「わかった」


そしてそこから細々とした作戦の確認をして今日の作戦会議は終了した。その後ソフィはすんなりと自分の部屋に戻った。絶対に一緒に寝ようとか言うと思った。最近ソフィが大人しい気がするけどどうしてだろうか?

次の日はソフィに闇魔法で見えないようにしてもらってジールと精霊魔法を使う練習をした。念の為にジールをエンチャントする練習もしておいた。エリーラが腕を振っただけで勢いよく水がベクアに叩きつけられたのは精霊降臨の効果だそうだ。エンチャントの場合はステータスの上昇だけでそのような効果はないようだ。その代わり消費魔力が10分の1以下でいいらしい。試した結果ジールをエンチャントし続けれる時間は15分までだった。まあ魔法や他の魔法のエンチャントをすると考えると、ジールをエンチャントして戦える時間は10分程だろう。

そして待ちに待った代表戦最終日がやってきた。












「よって!最終日午前の部!勝者!神聖タグリオン!」


「「「うぉーーー!!」」」


「これにより対校戦4位!アナタイト鉱国!対校戦3位!神聖タグリオン!!!」


「「「わぁーー!!!!」」」


午前の試合はエリーラがいきなり精霊降臨をして、一撃でグラデンを舞台の外に出した。俺にもエリーラが精霊魔法を使えたとしたら負けていたかもしれない…。

そして少しの休憩を挟んで午後の俺達の試合が始まる。








「お待たせしました!それでは代表戦最終日午後の部を始めたいと思います!!」


「「「うぉーーー!!」」」


「これに勝った方が優勝!!負けた方が準優勝です!!」


「「「うぉぉぉ!!!」」」


勝ち点的に代表戦では俺達とベクア達は負け無しなのでそうなるだろう。ちなみに引き分けとかの場合はサバイバル戦で勝った俺達が優勝になるだろう。


「それでは先鋒!入場してください!」


そして俺達の優勝をかけた代表戦最終日の試合が始まった。




























「しょ、勝者!ソフィア・アドルフォ!」


「「「わぁーー!?」」」


「そしてリンガリア王国が4連勝したため!勝者!リンガリア王国!」


「「「わぁーーー?!」」」


例え、俺が負けても得点は4対3なので俺達の代表戦最終日の勝ちが決まった。


「よって対校戦優勝はリンガリア王国に決定しましたっ!!!」


そして俺が戦う前にリンガリア王国の対校戦優勝まで決まってしまった。まあこれがベストの結果なのだがなんか少し物足りない気分だ。


「だが!!未だ代表戦で負け無しの大将同士の戦いを見ずしてこの対校戦が終われるだろうかっ!?」


「「「終われない!!!!」」」


「そうでしょう!そうでしょうっ!!それでは!大将!!入場してください!!」


どうやらこういった場合に行うアナウンスは決まっていたようだ。もしベクアと戦わずに対校戦が終わるとなったら、このもやもやがさらに大きくなったと思うのでよかった。


「ゼロ兄様!!」


「ん?」


そして舞台に上がろうとしているとソフィに話しかけられた。


「もう私たちの勝ちは決まりました。一昨日私が言ったことは全て忘れてください!ゼロ兄様の好きなように戦ってください!!」


「っ!?わかったよ!!」


正直言うと、ベクアの得意分野の接近戦で戦いたいとは思っていた。ソフィにそう言われたおかげで俺はベクアと好きに戦える。


「でも、私の作戦を使わないで負けたら許しませんからね?」


「それは勝つから大丈夫だな!」


だがこれで負けたらソフィが俺に余計なことを言ったせいで負けた、となってしまうのでこれは負けられないな…。

そして俺は勝つと決心して俺は舞台へと上がって行った。



「あーあ、これで俺達は3対4で負けだわ。優勝おめでとう!」


「何言ってるんだ?お前たちは7対0のストレート負けだ」


「へぇ〜!言ってくれるな!」


ベクアが嬉しそうにそう返した。きっと優勝が決定したことで俺がやる気を失っていないか心配していたのだろう。


「それより勝つ気あるのか?自慢のガントレットどこやった?」


ベクアは今までしていた腕と足の装甲のようなものを付けていない。


「これでいいんだよ!」


「なら良かった。俺と戦うのに緊張し過ぎて忘れたのかと思ったよ」


「ふんっ!言ってろ!」


そして俺達が話すのをやめて構えるのを見てアナウンスがかかった。




「では!大将!試合開始!」


「雷、火ダブルエンチャント!!」


「氷鎧!」


そして代表戦最終日のベクアとの戦いが始まった。

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