町の異次元空間・十字路のバミューダトライアングル
読天文之
第1話消えた運転手(証言者・松本結城)
俺は
その日は遠足で、中学二年のクラス全員が校庭で荷物を持ってバスの到着を待っていた。
でもバスが遅れていて、予定時刻から三十分後にバスが到着した。
大急ぎでバスに乗り込むと、バスは慌ただしく発車した。
そしてバスが十字路に差し掛かった時、右側から激しい衝撃が襲ってきた。
そしてバスは公民館の階段直前で停まった、シートベルトをしていなかったらヤバかった・・・。
どうやらバスの右側から来た車と衝突したらしい。車の運転手は怪我をしたが、バスに乗っていた生徒全員と教師達は幸い無事だった。
その日の遠足は中止になり、下校することになった。
しかし下校する前、青い顔で震えている
どうしたのと声をかけると、「大きな声じゃ言えないけど・・・。」と俺の耳元で呟いた。
「実はバスの運転手が行方不明なんだ。」
俺は耳を疑った。運転手が事故に遭って重傷なら解るが、行方不明はおかしい。
あの十字路で起こる事故は奇怪なものになると言われていることを知っていたが、ただの都市伝説だろうと信じていなかった。
俺は岸田と同様に、青い顔で震えた・・・。
あれから六年後、成人式後の打ち上げで岸田先生と再会した。
当時の思い出話で盛り上がる中、岸田先生があの事故のその後を教えてくれた。
「実は事故から三日後に電灯がない所の角で、バスの運転手が座り込みながら震えているのが発見されたんだ。警察が運転手を保護して事情を聴いたところ、車と衝突直後に自分だけ異次元空間にいたそうなんだ。そして自分の目の前に運転していたはずのバスが突っ込んできたんだ。運転手は避けたんだけどその時に運転席を見ると、顔に大きな怪我をしたセーラー服の女子高生がケラケラ笑いながら運転していたんだ。そして運転手は女子高生の運転するバスに追い回され、轢かれると思った時に発見場所にいたそうだ。ちなみにその運転手は、このことがトラウマになって仕事を辞めたらしい。」
運転手の無事にほっとしたのと同時に、あの十字路の異次元空間に飛ばされたくないと本気で思った・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます