第4話 インターミッション(1)

「多賀、いいか、緊急と言ったら、緊急なんだ。今から行くんだ。いいな。」

「待ちなさい! この人殺しぃっ!」

 その夜、小型録音装置から録音データを、分割コピーする。コピー先は、スタンドアロンのノートPCに繋いだ外付けHD。

「おい! 『盗聴・盗撮は犯罪ですから通報します』って、言っておいて、お前はやるのか!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界にいない。

 その際に、今日の音声データをヘッドフォン越しに、確認していた。

 本来なら、授業を録音する為に、使うつもりだったが、思わぬ大物が釣れた。

 父親に頼み込んで、高価な機材を買い揃えた甲斐があった。

「おっと、プロ野球の結果も見ないとな。」

 確かに……『事実は小説より奇なり』だった。これで、決意が固まった。


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