第2話 メジャーな属性を持つ転校生

「おいーっす!今日も矢部は美少女だなー!」

「あ?」

教室について早々言い出す事とは思えないので、ヤンキーみたいな声が出た。

「まぁ!お母さんそんな口の悪い子に育てた覚えはありませんよ!!

朝から榊原のこのテンションヤバいな。

「おはよう。朝練やってきた割に元気だねお前」

「朝練やらなかったら溜め込んだ力が暴発しちまうぜ!!」

今暴発してない判定なんだ。

「ところで話戻すけど矢部は化粧しないのか?」

「なんで化粧しなきゃいけないんだよ」

「なるほどな。周りの女どもと違ってぼくはスッピンでも勝負できるんだぜ。ってことだな?」

違う。

「榊原サイテー!」

どっかから榊原に消しゴムが飛んできた。

「ふっ!その程度の攻撃でオレが倒れるとでも思ったか!!がははは!」

消しゴム相手にイキりすぎだろ。

「そもそも学校で化粧禁止だしぼく男だし。化粧する意味がないんだけど」

「もっと上を目指すんだよ!最強の美少女を目指せ!自分で鏡見てこいよ!美少女が映るから!」

どっかの広告に出てきそうなことを言い出すな。

「毎朝見てるけど美少女とか見たことない」

「ちなみに鏡に向かってお辞儀するとなんか変なもの呼び出すらしいぞ」

「なんで今言ったんだよ。歯磨きできなくなるだろ」

「オレがずっとそばにいてやるよ……」

「榊原は僕の前でわざと鏡にお辞儀しそうだから居なくていいよ」

「吊り橋効果を狙ってくぜ!!」

やる気なのか……。最悪のマッチポンプ。

「まぁそれは半分冗談としてだな。いいか矢部。お前みたいに見た目が可愛い男を人は男の娘というんだ」

「そろそろ16だぞ。子ではないだろ」

「男のむすめとかいておとこのこと呼ぶんだ。メジャーな性癖だぞ」

どこにメジャーな性癖なんだよそれ。

「男が男を好きになるってこと?ホモじゃん」

「なんだぁ……?テメェ……」

突然キレるな。

「なんだよ……」

「とりあえずホモではない。いいか?ホモじゃない」

なんで2回言った。

「大事なことだから2回言った」

心を読むな。

「ところで忘れてたけど転校生が来るらしいぞ」

そっちの方が大事な話だと思うんだけど。

「そうなんだ。かわいいのかな」

「百合狙いか?」

「男だって言ってるだろ」

「向こうが男かもしれないだろ!!」

じゃあ百合じゃないだろ。そもそも百合じゃないけど

「おらぁー席つけー。えー。今日は転校生を紹介する」

大倉先生が入ってきた。

「おはよぉございます大倉せんせえええ!!」

「はいおはよう声がでかいぞ榊原ぁ!!あと席つけ」

「オレの席はここです!!矢部の隣」

「先生はお前がいつか通報されるんじゃないかと心配だよ。冗談はいいからはよ席つけ」

「うっす。じゃあな矢部……。少しのお別れだ……。すぐ戻ってくるからよ……」

「うん、じゃあね」

はやく席に行け。

「よし。んじゃ改めて、転校生を紹介する。いいぞー」

教室に入ってきたのは男だった。

「きゃー!かわいー!!」

榊原がなんか言ってる。たしかに可愛い。男子制服を着てる女って感じ。制服で男だと思ったけど男子制服を着てる女の子なのかもしれない。

「はい自己紹介よろしく」

「ふぅー!!自己紹介!!待ってました!」

「うるせぇぞ榊原!」

「うっす!」

黒板に名前を書いていく転校生。黒板の上に手が届いてないので僕より身長は低そうだ。

山条楓さんじょうかえでです!よろしくお願いします!ちなみにこう見えて男です!」

「男の娘が二人!!来るぞ!優馬!」

優馬って誰。

「こねーよアストラル」

そのツッコミはなんなんだ。

「んじゃあ矢部の隣でいいか」

あー。それで席空いてたのか。

「チビ同士仲良くしろよ」

誰がチビだ。大倉先生は口が悪い

山条くんが僕の隣に座る。同じ男とは思えない見た目だと思う。席に着いた時にふわっといいにおいがする。

「よろしくね矢部さん」

「うん、よろしく」

「百合の完成やで……」

とりあえず榊原は無視した。

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