~61~ 二人の愛②

 上気した頬や潤んだ瞳で「エクトルさん」と熱い吐息と共に耳元で囁かれる度、エクトルの理性も崩壊寸前だ。エクトルからのペッティングに素直な反応を見せる羽琉が艶美過ぎて、エクトルはさらに劣情を煽られた。

「羽琉。負担にならないようにしますが、無理そうな時は言って下さいね」

 余裕のない羽琉はコクコクと肯き返す。

「息を止めないで。ちゃんと呼吸をして下さい」

 再び余裕なくコクコクと肯く羽琉に、エクトルはちゅっと額にキスをする。

 自分でも制御し切れない羽琉への溢れる愛を、懸命に受け入れようとしてくれる羽琉からも同じ熱量の愛を感じた。甘い抵抗もあるが本気ではないことが分かるので、エクトルは動きを緩めることはしても止めることはしない。

「……ん、んん」

 エクトルの動きに合わせることで精一杯になっていた羽琉は、無意識に目を固く瞑っていた。

 それに気付いたエクトルが羽琉の眉間に唇を寄せる。

「羽琉。私を見て」

 その言葉で我に返った羽琉が薄く目を開けた。

 するといつもより割増になっている色と熱が籠った碧眼の眼差しが、羽琉を愛おしく見つめていた。

「愛してます」

「……」

「心から、愛しています。これからもずっと――」

 エクトルの深い愛情に触れ、胸が熱くなった羽琉は堪え切れず涙を流した。止めることができず、しゃくり上げながら涙を流し続ける。

 エクトルはふわりといつものように微笑むと、羽琉の涙を吸うように目元に口づけた。羽琉が落ち着くまでそれは続く。

 しばらくしてエクトルの頬に手を伸ばした羽琉は自分からもキスを返すと、そのまま首に抱きつき、ぎゅっと腕に力を込めた。

「僕も愛してます。ずっと愛してます」

「はい」

 これ以上ない幸せを噛み締めつつ、さらに熱く火照る羽琉の体を抱きながら、エクトルは至上の喜びに浸った。

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