~52~ 本題の前に――

 イネスの手料理は見た目と匂いを裏切ることなく本当に美味しかった。そのお陰か少食な羽琉もいつもより多く食べることができた。エクトルも驚くほどだ。

「片付けは私がします。羽琉は先にお風呂へどうぞ」

「いえ。僕が……」

「羽琉は用意をしてくれたので片付けは私の仕事です。気にせずゆっくりお風呂に入ってきて下さい」

 有無を言わせない響きとにこやかなエクトルの笑顔に押されつつ、素直に肯いた羽琉は「では、お願いします」と言い、先にお風呂に入ることにした。

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