~33~ 友人のために――①
出勤準備をしていたフランクは、出掛ける前に友莉に呼び止められた。
「今日の昼食はエクトルと摂ってね。それから栄養の付くものをたくさん摂らせて」
自分の上司に栄養をつけろとは言い辛いものがあるが、友莉と同じく心配していたフランクもその言葉には肯いた。
「エクトルも目が覚めたと思うからもう大丈夫だとは思うけど、時間があればしばらくは様子を見ててあげてね」
部署が違うから難しいとは思うが、会社内ではフランクが頼りだ。
「あぁ。社内ではリュカが一番近くにいるから、リュカからもエクトルの様子を聞くことにする」
フランクの言葉に友莉も肯く。
「私は午後上がりだから、また病院に行ってみるわ。羽琉くんの精神的なものも気になるし、慣れないフランスの病院に一人でいるのは心細いと思うから」
フランクはエクトルを、友莉は羽琉を……と互いに分担を決め、二人はそれぞれの会社へと向かった。
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