~13~ 報告②

「……」

 友莉とまったりとした時間を過ごしていたフランクは、再び送られてきたエクトルからのメールに少々面倒くさ気に眉根を寄せた。

 メールにはこれでもかというほど、羽琉への溢れ出る愛の言葉が綴られている。

「俺に言ってどうする」

「お母様にも認められて嬉しさを暴走させてるわね」

 フランクのスマホを覗き見しながら友莉も苦笑した。

「まぁ良かったわ。羽琉くんにとって一番の壁がイネスさんだったと思うし、イネスさんに快諾されたというのは今後の夫婦生活も円満なものになるわ。全てが丸く収まることができたのは、ひとえに羽琉くんの人柄のなせる業ね」

 そこは理解できるのでフランクも「そうかもな」と肯く。

「羽琉さんの性格は、相手の持っている警戒心というフィルターを溶かす温かさがある。羽琉さん自身の警戒心は相当強いが、相手にとっては接していけばすぐにその性格の良さが分かるだろう。まぁエクトルは最初から積極的なタイプだったから、羽琉さんの方が最終的に折れたような感じがするが」

「それでも羽琉くんもちゃんと自分の意思でエクトルを選んでるから、折れたっていうのとは違うわ。だって羽琉くんもちゃんと幸せそうだもの」

 フランクは「そうか」と納得したのかしてないのか分からない返事を返す。

「エクトルのそばにいる羽琉くんはほんと可愛いわよ」

「そうか」

「羽琉くんのそばにいるエクトルも可愛いわよ」

「…………そうか」

 それについては聞かなくても良かったがと胡乱になるフランクを尻目に、友莉はフランクに体を寄せた。

「そして、フランクのそばにいる私も可愛い」

「友莉はいつも可愛いさ」

 「ありがとう」と言い、友莉はふふっと笑う。

「私のそばにいるフランクも可愛いわよ」

「…………」

 男だが友莉から可愛いと言われるのは面映ゆく、何故か嬉しく感じてしまうフランクは、コホンと咳払いをするとにっこりと微笑んで自分を見上げる友莉にちゅっとキスをした。

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