和風ファンタジーに使える語句・知識集

ちはやふる・ちはやぶる


 「ちはやふる」は、「神」にかかる枕詞です。この作品の中でも何度か登場しました。そんなちはやふる、知名度も比較的高く覚えやすい語ですが、一方で実はいまだに意味が分かっていません。とはいえそこは創作の脳を働かせましょう。わからなければ作る。都合のよいように解釈すればよいのです。


〈霊早振る〉

 おそらく最もスタンダードな解釈はこういったものでしょう。霊威、神秘の盛んはや発揮ふるされている状態。神にかかるということもあいまって、神の力のすさまじさを表現しているという解釈です。


〈千葉や振る(触れる)〉

 私はこの解釈を主軸に考えています。神の力をただ力強い、人知を超えたものという漠然とした解釈よりも、より自然に近づけています。千葉、つまりさまざまな草木=森羅万象を揺らす=自然をつかさどる神ということです。前のほうにお話しした通り、古代日本人は自然と向き合う中で神や霊という信仰を手にしました。だからこそ、自然と神は紙一重であろうと思うのです。


〈千刃破る〉

 字面からしてもっとも中二チック。でもあり得ないことはありません。この場合、二つの解釈が考えられますね。千刃:たくさんの武士すらもかなわない力のすさまじい神か、あるいは千刃をもってあらゆるものをなぎ倒す神か。どちらにせよ、かっこいいことには変わりありません。特にこの字面解釈だと、あとにかかる神はただの神というよりは戦神いくさがみでしょう。



 ちはやふるという語は、最もキャッチ―で、それでいて意味も素晴らしい枕詞であると考えられます。もし作中の形容詞的に使うのであれば、神や神がかり的な活躍をした人間などに使うべきでしょう。また、枕詞や呪文として使うのであれば、非常に強力な魔法にしか使われないとかしてみると面白いですね。それゆえ、ごく一握りの人物しか、この語を知らないとか。

 あ、ちなみにせっかっく上のような解釈分けをしたので、もし霊早振る・千葉や振るであれば「ちはやふる」と清音で、千刃破るであれば「ちはやぶる」と濁るという使い分けをしてみると、より一層考え抜かれた設定だと感じられると思います。まあ実際そうですものね。

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