第51話 アタシを選挙に連れてって!
「はーい、皆さん。おはようございます」
「おはようございます」
「さーて、今日も張り切って行くわよ!」
「・・・あの? こんな早朝から熱中症ですか?」
「なんだ、テメェ!アタシがダルイのにやる気出してんのに。殴るぞ!」
「ぐわっ!だから、殴ってから言わないで下さい」
「あら? 成層圏まで飛んで行かないわ。アタシのパンチのキレが鈍ったのかしら?」
「まぁ、4か月ぶりですからね」
「はぁ? アイツは今まで何やってたのよ!」
「アイツとは北浦十五さんの事ですか?」
「それ以外の誰が居る?」
「何やら小説を執筆してたみたいですね」
「アイツが小説ぅ? アイツの書くモノなんてロクなモンじゃ無いわよ」
「その言い方はちょっと」
「アタシは声を大にして言いたい」
「何をですか?」
「アイツの書くモノは全て有害図書に指定しろ!若しくは発禁処分にしろ!」
「その前に書籍化すらしていませんが」
「あら、そうなの?」
「はい。残念ながら」
「何が残念よ。こんなにメデタイ事は無いわ!はっ、こうしちゃいられない」
「何処へ行こうとしてるんですか?」
「決まってるでしょ。糯米と小豆を買って来て赤飯炊くのよ!」
「あの、もう本番始まってるんですけど」
「うっさいわ!アタシが1度決めた事をやらないとでも思ってんの?」
「・・・いえ。ご自由にどうぞ」
「何よ、その投げやりな言い方は?」
「ですから、お好きなように」
「何、他人事みたいな事言ってんのよ。アンタも来るのよ」
「え? 私も行くんですか。何故? WHY?」
「何が、WHYよ。テメェは帰国子女か?」
「違います」
「母国に居られなくなった国家転覆罪者かっ?」
「また、長いツッコミですねぇ。あれ?」
「何よ、何キョドッてんのよ」
「こちらではルビを付けないんですね」
「ん? ホントだ。おのれ、北浦十五。ルビくらい付けなさいよ!」
「まぁ、あのお方もお疲れなのでしょう。聞いた話によれば執筆中の作品が難航してるとか」
「フン、どーせ後先考えずに書いてるからでしょ。そーいうのを自給自足って言うのよ」
「その4文字熟語。間違ってます」
「そうだっけ。えーと、四十路の熟女?」
「・・・もはや、4文字熟語じゃ無くなってるし」
「うっさいわ!グチグチと細かい事言うなっ。殴るぞ!」
「ぐはっ!」
「うーん、少しはパンチのキレが戻って来たかな。あら、ちょっと?」
「・・・・・・・」
「あら、ヤダ。心臓とまってるよ。皆様、少々お待ち下さい」
2時間半経過
「はっ!此処は何処? 私は誰?」
「ちっ、意識が戻ったか」
「そこで舌打ちしないで下さい」
「あぁ、意識が戻ったのね。良かったわぁ」
「・・・何かスゴイ棒読みですけど?」
「ちっ!」
「だから、舌打ちするなぁ!」
「うーんと。今日も暑かったわねぇ」
「このアマ、何も無かった事にしようとしてやがる」
「何か言った?」
「・・・いえ、何も」
「サスガのアタシもエアコン付けたわ。温度は28℃設定でね」
「節電は大切ですからね」
「でしょ、でしょ。現代社会においては電気は最重要インフラだから」
「仰る通りです」
「電気が無ければ何も出来ない。エアコンも冷蔵庫もパソコンもスマホの充電も」
「オール電化の家でしたら、ホントに何も出来なくなりますからね」
「そうなのよ。その最重要インフラである電力網に外国企業が入って来たら怖い、って思わない?」
「うーん」
「例えばよ? その外国企業と電線が繋がったら規格外の電力を流して変電所を機能不全にする事も可能なワケよ」
「理論的には可能ですね」
「でしょ? 変電所が機能不全になればその地域では電気の使用が不可能になる。もし、その地域に日本の国防において必要不可欠なモノがあったとしたら?」
「ちょっと待って下さい。それは、あくまで架空のお話ですよね?」
「アタシもそう思いたいけどね。でも既に外国資本の電力会社が日本国内にある事は事実よ」
「マジですか?」
「マジよ。経団連にも認可されてるわ」
「その電力会社とは?」
「そんな事、ここで言えるワケ無いでしょ。このサイトや、何よりスポンサー様にご迷惑をおかけする事になるじゃない」
「はぁ、確かに」
「判ってる人達は判ってるけどね。認可を出したのは県であり政府なんだから」
「・・・あの、もうその辺りで辞めた方が」
「じゃあ、ヒントだけ」
「・・・大丈夫ですか?」
「太〇光パ〇ル。もう1つはリ〇・ホ〇セ〇」
「だーっ、ストーップ!」
「うーん、これでも不適切なら削除しますので運営側からのご連絡をお願い申し上げます」
「速攻で削除します」
「これが削除されたら、「そう言う事なのね」とご理解下さい」
「だから、余計な事は言わないで下さいよぉ」
「これくらいで泣くんじゃ無いわよ。鬱陶しい!こんなのネットで調べたらゴロゴロ出て来るわよ!」
「あの、そろそろタイトルに」
「そうだったわね。今度の参院選は今後の、いえ近い将来の日本にとってはとても重要な選挙になります」
「そうなんですか?」
「えぇ、アタシは今年中にもその影響は出て来ると思ってる。中〇共〇党〇会もあるし」
「予断を許しませんね」
「アタシは投票は国民の義務だと思ってる。権利じゃ無くて、義務ね」
「そうなんですか?」
「だって今度の参院選の結果で日本の運命が決まるかも知れないのよ? アタシは日本と言う国家の伝統と文化を後世に残す義務があると思ってる」
「うーむ」
「勿論、これは投票を強要するものではありません」
「当たり前です」
「さーて、それじゃ7月10日にアタシを投票所に連れていってね」
「・・・ちょっと待って下さい」
「何よ?」
「なんで同じ日に高級料亭の予約がしてあるんですか?」
「あーら、日頃からアンタの面倒をみてやってるアタシへのアンタからの接待よ」
「んなワケ、あるかーい!」
おしまい
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