第34話 <部活動決めちゃいます!>
あ、あはは……。やりすぎちゃった。
調子に乗ってソースだとかマヨネーズを転送してお好み焼きにかけたのが失敗だったかな……?
お姉様とイリヤは大絶賛してくれた。ここまでは想定内。
でも、まさかお店の店主さんまで出てきて大絶賛だとは思わなかった。ちょっと想像力が足りなかったかも。
なんか、初代店主がどうしても再現できなかったものがソースとかマヨネーズとからしい。で、そのレシピを売ってくれって頼まれちゃった。
まぁいいかと思ってレシピを教えたら、私が卒業するまで毎年売り上げの三割をもらえることになった。ラッキー!
ソースは、実はペルスティアのあの湖で焼きそばの店をやってお小遣い稼ぎをしようと考えていたときに作ったもの。
あの時はお父さんに怒られて中止したけど、思わぬ所でお金になったな。
あ、唐揚げはとても美味しかった。まぁ、あれは元からこの世界にあったものだから作るのにも慣れているだろうしね。冒険も大事だけど堅いところを抑えるのもいい。
で、そこから屋敷に戻ってイリヤと仲良くお風呂に入り、部屋に戻る。
「いやー、今日は良かった良かった」
「ですね。私も初めてのお料理美味しかったです」
「あれ、多分ペルスティアなら作れるね。今度、私が作ってあげるよ!」
「楽しみにしてます」
笑顔のイリヤに抱きつく。あー、可愛い。
っと。そうだった。大事なことを忘れるところだった。
イリヤから離れて鞄を漁る。底でぐしゃっとなっていた用紙を取り出して机に広げてみる。
「ねぇイリヤ。部活、どうするか決めた?」
「生徒会があるのに大丈夫です?」
「問題ないって。イレーネ様も兼部は問題ないって言ってたし」
「でしたら、私はリリと同じ所に」
まぁ、イリヤならそう言うよね。
さて、どの部活が面白そうかしら? お姉様は確か、この貴族剣術部だったよね。
他には……魔法研究会、乗馬部、料理部……他にもたくさんある。どうしようかな?
「……あ、これいいかも」
「どれですか?」
横から覗き込んでくるイリヤに、見つけた部活を指し示す。
「冒険部! ほら、放課後の時間で冒険者の活動が出来る部活!」
学校は平日の冒険者活動を禁止している。でも、この冒険部は特別に部活動として認められていた。
私もイリヤも高ランクの冒険者だからね。放課後に体を思いっきり動かせそうで楽しそうだよ。
「良さそうですね。ただ、兼ね合いは大丈夫ですか?」
「それも問題ないみたい。ほら、ここ読んでみて」
欄外に小さく書かれた文を意訳すると、完全に暇つぶしのための部活で忙しくないって。
これなら生徒会と両立できそうだよ。これに決めた!
早速用紙の裏面に書かれてる入部届にいろいろ書いていると、お姉様がお風呂から帰ってきた。
濡れた髪を拭くお姉様……なんだかセクスィー。
「あ、部活動ね。何にするか決めたの?」
「うん! 私もイリヤも冒険部にするよ」
「冒険部かぁ。面白そうだけど、あまり危険な依頼は受けたらダメだからね」
「分かってるって!」
「リリが危険な目に遭わないように全力で守るので」
イ、イリヤが格好いい……! 騎士みたい!
コレット家は騎士の家系だけど、その血が出たのかな?
お姉様がベッドに腰掛ける。上体を放り出し、完全にリラックスした姿で足をバタつかせていた。
「私も冒険部の活動増やそうかな~?」
「え! お姉様も冒険部に入ってるの?」
「うん。嫌なことがあったときとか適当に依頼を見つけて魔物を駆除してるよ。それに、正直貴族剣術みたいなお上品な剣技は私苦手だから」
小さく舌を出しておどけるお姉様。
そして、お姉様は自分の机から冒険者証を取り出した。
「まっ、お母さんには内緒なんだけどね。銀等級なんて知られたら怒られちゃいそう」
「お父さんは私たちが金等級だって知ったらめちゃくちゃ怒ったから、それで正解だよ」
「やっぱりねー」
あははと笑われる。
でも、そうか。お姉様も一緒に活動してくれるんだ。
なら、やっぱり私はここにする! イリヤも頷いてくれたし、冒険部で決定!
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