森野羊は叶えたい。

小豆

1章 森野羊は叶えたい

俺は大吉小吉

「さて、今日の運勢第1位は!!」


ゴクリ。


思わず息を飲み、俺は画面に釘付けになる。



「牡牛座のあなた!!」


「くっそぉぉぉぉぉおおお!!」



4月1日のAM7:00に俺の絶叫は


マンション中に響き渡った。



俺の名前は大吉小吉。


いや、どんな名前!って思ったそこのあなた。


残念ながら、本名です。



読み方はおおよしこきち。


なんでも、俺の出産に運悪く立ち会えなかった


父がつけた名前らしい。



いや、親戚の誰か一人ぐらいは止めろよ!!


なに、おっけーしてんだよ!



これだけで俺はよくからかわれるのだが、


他にも、俺は不幸体質なのだ。



何も無いところで転ぶ。


パンは購買でいつもラスト1個を持ってかれる。


テレビの占いは8位以上を見たことは無い。

(これは、俺がテレビをちょうど見れた日に限っての話。)


そんなんだから、苗字に少しは助けてもらえだとか


名は人を表すな〜。だとか


散々な言われようだった。



「ちょっとお兄ちゃんうるさいよ!」


気がつくと妹の福が、後ろに立っていた。



俺に対して福はというと、


とんでもない幸運体質で、よく兄妹でも


比べられて哀れまれたもんだ。



「お兄ちゃん遅刻するよ!!」


福の声で時計を見ると時計は7:30になりかけていた。



「やっべぇ!」


俺はリュックをしょって玄関のドアを開ける。


「ちょっと!朝ごはんは!!」


福が不満そうに後ろで叫んでいたのを


俺は盛大にスルーしてダッシュで走った。



今日は高校の入学式。


生徒会に所属する俺は遅刻する訳には行かなかった。



(不幸だぁぁぁぁぁぁぁあ!!)


俺はそう思いながら、


乗り過ごしそうだった電車に飛び乗り


一息ついて、席に座った。

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