今どこにいますか?誰か教えて下さい。 「信楽智也さん貴方が好きです」「えっ?」

湯呑み 湯

第1話 出会い 



「眠い」


電車内扉付近から周りを見てると、座席に座っている社会人や、どこかの女子学生が欠伸をしている。

やっぱり月曜日はみんな同じ感じな。

それにしてももう11月か、時間てあっという間だな。



○○駅○○駅ー、お降りの際はーーー

「よー智也、おはようさん」

「誰だお前」

「いきなりか........

あなたの大大親友の結城 和也ですよー」

大大ではないが、一様親友とか呼べ......

「いやただの腐れ縁だろ」

正直今こいつと話ししたくないな。




「なんだー?いつもながら、眠たそうな顔してまたやりたいこと探しのネットサーフィンでもしてたのか?」

簡単に的を射抜いてくるなよな.......。

茶髪で両耳にピアスを付け、加えてワックスもしており、いかにもチャラ男な雰囲気丸出しな男、和也には目標が有り、そのために必要な進路を決め日々勉強中、自分よりも未来を見据え動いている。

高校3年、別におかしいことはない、

ただまだ先も決めてない者が、今もなお進み続けている奴を見ると、焦りや不安といった感情がこみ上げてくる。

そんな感情を改めて認識したくないから話したくないんだよ.......。



「仕方ないだろ、俺は部活以外何もしてこなかっただから」

「あれだけ陸上で良い成績残したんだし、スポーツ推薦とかダメなのか?」

「ダメだな、それじゃあ飯は食っていけなし」

確かに全国大会出場決勝戦ベスト5の成績だったが、そんな中途半端な成績でプロを目指し、大学でも続けるとは考えれない。



「いや考え過ぎだろ.....別に大学に入ってからでも良いじゃあないか?大学の方が経験できることは多いしよ、ほれ例えば一人暮らしやサークル活動とかさ」

「まぁそれも考えたけど、やっぱり何するにしても、目的がないと意味がないように感じるんだよなー」



100mで目標タイムを設定、それに向けて練習してきた。

だが目的があると何がなんでもという気持ちがこみ上がり、練習以外の時でも自然とヒントを探すようになっていた。

そのおかげで目標タイムに辿り着き、成績を残すことができた。

だから目的を持つ意味を他の人よりは理解しているつもりだ。



「なら幸せな自分を思い浮かべて、それを目的にしてみたらどうだ?」

「いや幸せな自分て、それを想像できたらネットサーフィンなんてしてないから.....」


「目的と手段は違う、て妹がよく言ってるぞ

実際俺もそう思うし、別に難しく考える必要ないんじゃあないか?

誰かを好きになって、そいつといつまでも幸せに暮らしたいでもいいんだしよ」



確か和也の妹て、老後お金に困らないためにアパートを買おうと考えてるじゃあなかったか?

高校一年生の考えとは思えないな.......。


「まぁあんま考え込み過ぎるなよ」

電車が到着し、和也は駅のホームで待ち合わせていたと思われる彼女の元に駆け寄っていった。


「好きな人かー、初恋もまだな俺には想像もできないな」

そんなことを呟きながら、改札口に向かっていると、




「信楽智也さん貴方が好きです」



唐突に後ろから、何かが聞こえた。



「えっ?」



振り返るとそこには、知らない制服を着た女子生徒がベンチに座っていた、小さくスラッとした鼻にブラウンの瞳が目に写る、小顔で少し幼げな雰囲気があるも、軽く茶色かかったショートボブ、前髪を右サイドにさらりと流し大人ぽさも感じられる。



「えっ」

その女子生徒も同じような反応し、何故か固まっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る