トラウマについて

荒川 麻衣

第1話 自殺で大切な人を亡くした

有名人の自殺が続いている。

まだ、続くのだろう。


そして、私は風呂に入るのが非常に嫌いだ。


風呂嫌いの理由。

なぜか心地いい、と感じる芸能人の周波数。


最近思い出したのが、大切な人を自殺で亡くした、ということだ。


その自殺の方法は、お風呂を使ったもので、確実に「自殺」だと疑いようのない死因だった。


あまりにもショックな出来事だと、乖離、かいりして後ろから自分を見たり、頭上から自分を見たりするが、そう言う状態になった。


悪いことに、その自殺をなかったことにされた。


5歳のわたしは、それから自殺をはかった。

自殺というのは連鎖する。


それ以来、「生き残ってしまった」罪悪感に苦しめられている。

毎日のように、自殺できない自分を悔いている。


東日本大震災をきっかけに、自殺願望は強まった。

だっておかしいだろ。


死にたいと思ったわたしが生きていて、そうじゃなかった人がバタバタ死んで。


わたしは繰り返し繰り返しテレビの画面を見つめた。

流されて行った人が何人もいる。

それも、数え切れないぐらい。


もしも魂があるなら会いに来てよ。


東日本大震災後にあちこちで聞いた不思議な心霊体験は、わたしには起こらなかった。



それから10年近くは悪夢に近かった。


戻ってきた場所は被災地で、

「ヒサイシャ」は、被災体験のないわたし(表向きはそう振る舞うしかない)に向かって、ひったすら自慢話のように被災体験を打ち明けた。


それはまるで、本当に悲惨な目にあった戦争体験者が、口を閉ざすばかりにその大変さに気づかれず、長い間、いや、死ぬまで語らなかったのと似ている。

「激戦地満州にいた」は勲章に近いが、沖縄、北海道、九州と言った隠れた激戦地の話は、わたしは繰り返し聞いたが。

その話について語り終えた人に、周りの人は詰めよった。

「初めて聞いたぞ、その話は」


言えなかった、と。まぁ、わたしは昔から不思議な能力があり。わたし自身が開けっぴろげで好奇心旺盛でやたらとおじいちゃんおばあちゃん受けがいい。なので、気難しい人ほど仲良くなり、しんどい体験を話してくれた。


だから、わたしの知っている戦争体験は、自殺未遂が原因で聞けたのかもしれない。

あの時代は、自殺が名誉だったから。


話がそれたが、10年経ったところで、傷は埋まらないどころか、

「また生きてしまった」

「歳を重ねてしまった」

罪悪感におそわれる。


私が自殺で亡くした大切な人は、生きていれば還暦だろう。

しかしあの人、おそらく20代後半のあの人は、バブル崩壊とともに心を崩し、死んで行った。


バブル崩壊。

リーマンショック。

そして、今回のコロナ。


毎回、経済危機のたびに自殺者の報道が出るが、果たしてこの国は、滅びたいのだろうか。


生き延びた人は自殺で死ぬ。

子供を産みたいと思っても男女交際や不倫で世間は騒ぐ。


どんな手段であれ、男女交際があれば子供が生まれる可能性は高くなる。

保守派ならば、「元気な子供を産んでください」だろう。


日本語しか話せない外国人を強制送還するのもおかしな話だ。

日本国籍を与えて、日本人を増やせばいいじゃないか。

人の数は国力だ。中国、韓国が力を伸ばしているなら、日本人保護政策を発動して、何がなんでも「うめよふやせよ」をやらんかーい!


と、だんだん日々過激になるのは、三代続けて社会運動家の血筋だろう。


結構。うっかり、ツイッターで激しいことを呟きそうになって自主規制しているが。漫画「売国機関」を読んで気が変わった。


愛国奴に。わたしはなる!


ダメだこいつ、はやくなんとかしないと。

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