第13章 17 姉からのメール

 ピピピピ・・・


6時半にスマホのアラームの音で目が覚めた。


「う~ん・・朝か・・・。」


カーテンを閉めている部屋がうっすら明るくなっている。ベッドから起き上がると、タンスから着替えやバスタオルを出して、バスルームへと向かった。

シャワーを頭か頭から浴びて身体や髪の毛をまんべんなくきれいに洗って、髪の毛をドライヤーで乾かし、部屋に戻ると既に7時になっていた。


「さてと・・・洗濯しようかな。」


さっきまで使っていたバスタオルと一緒に着替えを放り込むと、洗剤、柔軟剤を投入してセットした。洗濯機が回り始めるのを見届けると、私は朝食の準備を始めた。


「そういえば・・昨日も夜ご飯食べすに寝ちゃったんだっけ・・。」


私はすっかりぺったんこになってしまったおなかに手を当てた。私・・今何キロくらいなんだろう。ヘルスメーターを持っていないから今の体重が分からない。でも・・・正直なところ、測るのが怖い。


「何か栄養つけなくちゃ・・。」


ただ、パンをトーストして食べようかと思って、やめにした。


ガチャリ


冷蔵庫を開けて、食材をチェックしてみると目の前にピザ用チーズが入っているのが見えた。


「そうだ、ピザトーストにしよう。」


さっそくチーズと買い置きしておいたピーマンに玉ねぎ、ウィンナーを取り出した。6枚切りにパンにケチャップを塗ってスライスしたウィンナー、野菜をパンの上に乗せて、ピザ用チーズをたっぷりかけた。そしてオーブントースターに食パンを入れた。


「10分くらいでいいかな・・・?」


タイマーのつまみを10に合わせると、次にケトルでお湯を沸かして、マグカップに粉末のコンソメ、ちぎったレタスに、同じくちぎったノリを入れて、お湯を注ぐ。


「うん、即席スープはこれでいいかな?」


すると少しだけ、焦げた匂いが部屋の中を漂ってきた。


「え・・・?ひょっとして焦げてる・・?」


慌ててオーブントースターを開けてみると、ピザトーストは程よく焼けていた。とろけるチーズが少しだけきつね色に焦げていて、食欲をそそられる。

お皿に焼きあがったピザトーストを乗せて、カップに入った即席コンソメスープを持つと部屋に移動した。


テレビのリモコンに手を伸ばし、朝の情報番組を眺めながら私は黙々と朝食を食べた・・・。



 朝食を食べ終えた頃にはもう時刻は8時になろうとしていた。


「さてと・・・。」


食べ終えた食器を持って、小さなキッチンへ運ぶとさっさと洗い物を済ませてしまった。


「洗濯・・そろそろ終わるかな・・?」


洗濯機の残り表示時間は10分になっている。そこで暇になってしまったのでスマホを手にしたとき、私はギョッとしてしまった。さっき、アラームを止めた時は全く気づかなかったけどスマホにはメールの着信の知らせが入ってきていたからだ。


「え・・?こ、これって・・・。」


メールの着信相手はお姉ちゃんからだった。


「そ、そんな・・・まさか・・・・。」


いつしかスマホを持っている手が小刻みに震えていた。お姉ちゃん・・・何てメールを書いてきたんだろう・・。確かめるのが怖かった。だからと言って、お姉ちゃんのメールを無視することも出来ない。

私は震えながらスマホをタップしてメッセージを表示させた。



『鈴音ちゃん。身体の具合はどうですか?鈴音ちゃんが交通事故に遭うまでの私はずっと頭の中に靄がかかっているような状態でした。鈴音ちゃんが事故に遭って、目の前に血まみれの鈴音ちゃんを見た時に、初めて頭の中の靄が消えました。どうして鈴音ちゃんが血だらけになって意識を失っているのか、全く分からず、パニックになって泣き叫んでしまいました。そして次に気づいたときは、病院のベッドにいました。そこで先生は私が今まで鈴音ちゃんにしてきた行為をすべて教えてくれました。鈴音ちゃん、貴女がこの家にいないのは私が追い出してしまったからなのね?ごめんなさい。今、社会復帰できるようにケースワーカーの先生と頑張っています。近いうちに鈴音ちゃんと会いたいわ。』


メールにはそう書かれていた―。

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