葵
キャラクター紹介を見ていて、目が止まった。ギョッとした。
「高崎葵」というキャラクターがいた。
俺は当然、高梨葵に空目した。
え?偶然、だよな、、
それは、男子学生のキャラクターだった。「たかさき まもる」だった。
高崎葵は、小さい方の主人公の幼馴染で、バスケ選手。女子バスケ部がなかった中学で、無理やり男バスに参加してきた主人公とぶつかりながら、友情以上恋愛未満の関係の中、高校では低身長のハンデを乗り越えようと努力する主人公の精神的な支えになる、らしい。
主人公を見守るキャラだから”まもる”か。
名前の由来がわかりやすい。
葵と描いて”まもる”と読む人物といえば、終戦時の外交官・重光葵がいるが、あまりメジャーな人物ではないだろう。”まもる”という音を使いたいなら、漢字は「守」とか「護」とかが順当なんじゃないか。
うちの学校で、一年生に「高●葵」がいる。
俺たちのクラスじゃん。
さらに、錦織を思わせる「西郡(にしごおり)芽衣」がいた。女子キャラ。
プーを思わせるのが「新條有夢(ありむ)」。夢有がひっくり返ってる。これも女子。
俺らしい名前はなかった。
我に返って、恥ずかしさに悶絶した。
漫画世界に、現実世界が反映してるんじゃないか、と真剣に見て、名前を探すなんて、大人がやることじゃない。
ウチにはバスケものの舞台になるような実績はない。他のことで目立つ有名校でもない。一応トップ校の末席には名前があるが、末席なので、全国的に「この県の高校といえば」と連想される学校ではない。
「知らなければ、思いつかない」学校だ。
私立ならタイアップということもありうるが、公立だから、それもない。
でも、簡単に3人もクラスメイトを彷彿とさせる名前が出て来るのは偶然なんだろうか?それも、俺たちのクラス限定で。
改めて作者のプロフィールを見る。
どこ出身とは書いていない。
wikipediaやアニメ情報サイトを見る。どこも同じようなプロフィールだ。
せめて出身県くらいわかればはっきりする、と、尚も探したが、結局わからなかった。
公式が出しているプロフィールでわかるのは、デビュー年のみという状況。
一世を風靡した”チルキミ”の作者なのに、よっぽど知られたくないのかと思った。
この少し後、空前絶後の大ヒットアニメが登場した。映画興行成績のトップをぶっちぎりで獲得したそれの作者が、直前まで、性別すら公式に発表されていなかったことを知って、漫画家のプロフィールが未公表なのは、業界的に、そんなに裏読みするような”秘密”ではないんだな、と、その時に思った。
でも、ここまでされなければ、俺は”チルキミ”を知りたいとは思わなかっただろう。
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