第37話未確認生物の調査3


翌朝ライズ達を門の近くで待たせると、キースの店に向かう。キースの店に着くと足早に店へ入った。今日はいつも以上に寒い、店へ入るとカウンターに武器が並べられ布が被せられている。


「おはようございます!」


「おぉ!良く来てくれた少年!さっそくオウカっちを出してもらえるか?」


「ぶふぉ!」


「見て驚くなよっ!俺っちの傑作集だっ!」


ニヤつきながら布をゆっくり剥がす。するとそこあったのは素人が見ても市販されている物より綺麗で、とても心惹きつけるモノがあった。


「まぁ俺っちの傑作集と言ったのはなんだが、コイツらは依頼主が取りに来なかったモノでよ、死んだんだかバックレたんだか知らねぇが可哀想だから使ってくれや!」


そこには四つの武器が並べられていた。長剣が一つ、メリケンサックが一つ、トマホークが対のセットで一つだ。


「オーダーメイドの品だから性能はピーキーなんだがなそこは勘弁してくれよ?」


「いえ、我儘言ってるのは俺なんですから構いませんよ!」


「それじゃあ早速説明するぜ?この透き通る様な長剣はだな剣身に使われてる素材の大半が鋼では無く水晶等の天然結晶だ。斬れ味は抜群、でも耐久性に難があり使用者の技量が無ければすぐ様御臨終さ!オウカっち振ってみてくれ」


オウカが手にとって振ってみるがなんともしっくりきてない様子、それをみて残り二つの説明が始まった。


「その調子じゃ長剣は無理そうだな、じゃあ残りのコイツらだ。このメリケンサックは耐久性抜群の逸品だ。四本の指を通すタイプでな、相手に当たる打撃部分に一本鋭く太い針を備えていて、一撃必殺も秘めている、取り敢えず付けてみてくれ!」


「ぶふぉ!ぶふぉぉぉぉぉ!」


「キースさん……ちょっとサイズの方が……」


指を入れようと鼻息を荒くしたオウカだったがいっこうに入る気配が無い、あちゃー俺忘れてたわと言った顔をキースは浮かべている。


「オウカっち悪いそれは無しだ!そこまで考えて無かったわアハハ……じゃあ必然的に残るコイツだなもう在庫が無いから他は出せないぜ?」


メリケンサックの大きさはオウカにピッタリなのだが指の方はあと少しの所で入らない、メリケンサック自体は気に入ってそうな感じだが入らない事にとても残念そうだ。


「残るトマホークだが、これが一番無難だな強度は最強斬れ味はゴミだ!以上っ!ただ、難点はトマホークのクセにやたら重いって事だけだなオウカっちなら丁度良いんじゃないか?」


「ぶほぉ?ぶふぉ!」


トマホークを手に取り振り回しているオウカ、その際風切音がしてとても危なく感じた。ただ、満更でもない顔をしていたのでこの武器に決めた。


「危なそうですが本人も気に入ったみたいなので、こよトマホーク買います!値段はいくらですか?」


「ソイツはタダで良いぜ!」


「いや、そういう訳には!」


「って言うのも俺っちが損してる訳じゃねぇーしな、依頼主から金は頂いてんだわ、だからルシウスっちにやるよ。ここで埃を被るよりはソイツも嬉しいだろうよ」


「それじゃあお言葉に甘えますねっ!」


「あぁ、若いうちは素直じゃないとな!どうせ大人になりゃ皆偏屈になっちまうんだからよ!ソイツをぶら下げるベルトも一緒にやるから死なないように頑張れよ」


「はい!頑張ります!」


少し待たせすぎたなと思ったルシウスは昼ご飯を買うついでにライズ達の分のフルーツも買った。


「お待たせ!悪い遅くなった!」


「大丈夫だ!オウカの武器は良いもの買えたのか?」


「あぁ、これ以上は無いって程のヤツを買えたぜ!」


談笑しながら門を潜る、血潮の森迄は徒歩での移動だ。お金があれば馬車をチャーター出来るが、節約の為歩いて行く事にしたのだ。森迄は徒歩で一時間から二時間程で着く、荒野の様な道がずっと続いて行くが、森に近づくにつれて段々と緑が増えていった。体感温度は冷たいがこの季節特有の陽射しに体力を奪われていく。


「しかし、オウカの貫禄つったら凄いよなついこの間迄はこんなに小さかったのによ!だから魔物は脅威なんだろうな」


「あんた魔物だのなんだのちょっと感じ悪く無いかしら?クロちゃんの可愛らしさも凄く良いんだけど、オウカちゃんのお腹だってホラ!こんなに感触が良いのよ?」


「セラ!ちょっと!そんなにお腹を触ったらオウカさんに失礼ですよ!」


「大丈夫よっ!ねぇ?オウカちゃーん!」


「ぶふぉ!」


「本人もこう言ってるんだから良いんじゃないか?」


「ルシウスさんが良いなら良いんですけど……」


じゃれあいつつも休憩を挟み歩みを進める、森に近づくにつれてその景色は様変わりしていた。段々と緑色の草が赤く色づきとても不気味な様相を漂わせている

森のすぐ近くまで行くと、此処から先は入るべからずとでも言うように草が剥げ赤土が露出していた。


「なんか不気味じゃないか?本当に大丈夫なんだろうなライズ!」


「お前ビビってんのか?嫌ならルシウスは此処でお留守番でも良いぜ?」


「そういう事じゃないんだが!まぁいいや危なそうだったら帰るからな?調査がメインの依頼なんだからさ」


各々装備品の点検をした後森へ入っていった。

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