第17話初めての魔物2
翌朝、猫パンチによって目覚めた。
「にゃっ! にゃ!」
ルシウスの頬っぺたに猫パンチするクロはとても機嫌が良さそうだった。
「……ん? クロか?」
「にゃ?」
「この!こうしてくれるぅぅー」
ルシウスはクロのお腹をこれでもかと言う位に撫で回した。その際クロは止めてくれよぉ、俺が悪かったよ?と「にゃ?! にゃっ?!」謝罪するかの様に鳴いていた。
「分かれば宜しいっ! 取り敢えずご飯だよな?」
クロを一度揺り籠に入れて早朝の挨拶に向かおうとしたらお呼びが掛かった。
「しょうがないなぁ、言う事聞くんだぞ?」
クロを抱えるとそのまま下に降りる
「おはようございますっ!」
「ルシウス君早いね? おはよう。部屋まで持っていってあげるから部屋で待ってなよ」
爺さんは馬房で仕事をしていたがヒイラギは居ない様だ。
「自分でやりますから、大丈夫ですよ!」
「いや、お金を貰っているからね! 私がやるから大丈夫」
気を使って断るが、爺さんが折れそうに無いのでお願いする事にした。
「じゃあ、クロのご飯は自分で作りますよ!」
「それじゃあ、それだけはお願いしようかね」
「クロは此処で待ってるんだよ? ご飯を作ってくるから」
クロをカウンターに置いて厨房に向かう呼んでいる声が聞こえるが心を鬼にする躾も必要なのだ。昨日と同じ物を作る為に準備を始めた。
鍋に同じ材料を入れて火に掛ける、すると足に違和感を感じて見てみるが何も無いので鍋を注視した。焦がしたらいけないからだ。
「にゃ?」
此処に居ないはずのクロの声が聞こえ、声の方に顔を向けると肩の上にクロが座っていた。
「おっ! ビックリした……なんで此処に居るんだ?」
「にゃ!にゃにゃにゃ!」
クロが鍋に足を向けるので見てみると焦げそうになっていた。慌ててかき混ぜ火を調節する。
「おっと、危なかった。ありがとなクロっ!」
「にゃっ!」
「いや……そうじゃなくて……まぁいっか! そこで静かにしてるんだぞ?」
ある程度柔らかくすると乳の甘い香りが辺りを漂う、その香りに触発されたのかクロはルシウスの頬っぺたをトントントンと叩いていた。ご飯をおねだりしている様だ。
「よしっ! 完成っと!」
器に盛り部屋まで戻るとクロはベッドに飛び込んだ。
「ジャンプ力結構あるな……」
ルシウスもベッドに腰を下ろすと膝にクロを置いてスプーンで掬ったご飯をフーフーして冷ます。その際クロは必死にご飯を手招きしていた。
「ちょっと待ってってっっっ!」
クロは待ちきれなくなってスプーンにかぶりついた。すると膝の上で悶絶し自分の顔をトントンと叩き顔ある? 顔ある?と確認している様だった。
「ほら言わんこっちゃない! 急ぐからそうなるんだよっ!」
そんなこんなしている時爺さんが朝食のスープとパンを持って来てくれた。
「ルシウス君此処に置いておくからねぇ、クロちゃんは一杯食べるようになったね! それならすぐに大きくなれるよ」
クロの事を心配していた爺さんは、クロの食欲を見て安堵した。
「お爺さんありがとうございます。そうなんですよ冷ましてるのに横取りして悶絶しちゃって……」
「食べれる様になって本当に良かったよ! 終わったら下に来てくれるかな? まだその魔玉にルシウス君を登録してないから」
「登録ですか?」
「その魔玉はまだ所有者登録してないからね登録さえすれば他の誰かにクロちゃんを盗られる事も無くなるから登録はしないとね」
「分かりましたっっ! お願いします」
魔玉の登録の話を終えると爺さんは下に降りた。
冷ます時間が待てないのか何度も悶絶した後食べ終わり自分の朝食を食べる事にした。ベッドにクロを置いて椅子に座って朝食を頂く。
朝食を食べていると何を食べているのか確認する為か、クロはルシウスの上でじっとスープを見つめている。
「食べてみるか?」
ルシウスは試しにパンをスープに浸してクロに食べさせるすると……クロは床に降りてピョンピョンと跳び跳ねた。
(美味しかったのか? なんか和むよなぁ……)
跳ね終るとテーブルの上に乗り手招きダンスをしていた。
「じゃあ後一口だけだぞ?」
急いで自分の分だけ食べると残った汁をパンにつけてクロに与える、ルシウスのご飯を横取りしたクロはとても上機嫌だ。そのままルシウスの肩に戻ると、登録の為に下に降りた。カウンターには既に爺さんが待機していた。
「早かったね? 魔玉は押すと取れるから出してみてごらん」
言われた通りに魔玉を押すと、カチッという音と共に魔玉が外れた。
「デザインはどうする? 色とかロゴとかある程度なら自由効くよ」
「クロの目と同じ色でお願いします。 魔玉の半分を赤、残りを青で」
「分かった。じゃあ五分位待っててね」
爺さんはルシウスから魔玉を受け取ると、専用のマジックアイテムにセットする。クロとじゃれあいながら五分程待つとルシウス専用の魔玉が完成した。
「うわぁ……綺麗……」
爺さんから受け取った魔玉は宝石の様に輝きとても綺麗だった。
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