スマホヒーロー!〜売れないバンドマンがとあるアプリをダウンロードしたら世界を救うヒーローになった件〜

@nora-noco

プロローグ

俺はスマホ画面に表示される銃のマークをタップする。


ズシリと俺の右手の中に重量感ある拳銃が、召喚されたように瞬時に現れた。


今まで見たことのない拳銃の形をしているが、人差し指を掛けられるトリガーがある。


恐らくこのトリガーを引けば、今俺を襲わんとしている得体の知れない怪物を撃つことができるのだろう。


「ガゥゥゥゥゥ……」


低い唸り声をあげる蜘蛛のような複眼を持つ、大型犬程の程の大きさの筋肉隆々とした体格の四足歩行の生物は、大きな牙を剥き出しに俺の方へとジリジリと近付いてくる。


その怪物に銃口を向けながら、ゆっくり俺は後退りする。


この引き金を引かなければ俺がやられる…。


産まれて初めて感じる生命の危機に、銃を持つ手が激しく震える。


照準を安定させるため、左手を銃のグリップ部分に添えたが、それでも両手の振戦は止まらない。




ていうか、俺は今何でこんな怪物と命のやりとりをしているのだろう。


昨夜は、普通にライブしていたのに…


あの【スマホヒーロー】とかいうアプリをダウンロードするまでは、ただの売れないバンドマンだったのに…

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