今年の願いとこれからを

宵闇(ヨイヤミ)

第1話

年も明け、お正月に入ったと思ったら、早々に始まってしまった学校や会社。もう少しくらい休暇を長くしてくれてもいいのではないだろうか。そう思いつつ、私は今日も学校へと足を運ぶ。いつもと変わらぬ景色の中を、友達と歩く。

「おはよっ!今日も寒いねぇ」

「そうだねぇ」

「そういえば、初詣って行った?」

「いや、まだだよ」

「じゃあ次の休みに一緒に行かない?」

「行く!いいよ、行こ!」

正月も終わり、初詣というには遅い気もするが、新しい御守りも買いに行かなければならなかった。だから丁度いいだろうと思い、行くことにした。


〜休日〜


朝から霜が降りており、窓や硝子は白く曇っていた。この寒さは昼になれば少しはマシになるだろうか。

「おはよ〜」

「今日も寒いねぇ」

「そうだねぇ、じゃあ神社行こうか」

人の流れはそこまで酷くはなかったが、正月が終わったにしては多い方だった。

きっとこれは今流行りの病が関係しているんだろう。ソーシャルディスタン、3密回避、そんな事を何処かの偉い人が言っていた。最初は皆それを守り、感染予防に務めていたが、今となってはそんなことをしていたなんて面影は僅かしか見られない。

時差出勤の名残りかのように、時期・時間帯をずらして行動する、それは今だに皆が続けていることの一つだ。

「人多いね」

「早く御参りしに行こうか」

そこへ行くと、入り口に居た人達はどこへ行ったのかと思うほどに人が少なかった。

小銭を投げる。毎年五円玉だけを投げていた私だが、今年は55円を投げることにした。これには、5重にご縁がありますように、という意味があるらしい。

4月から大学へと進学する私の、これからの人間関係、そして新しい友人との出会い。それから、一緒に居て安心出来る異性とのこれからについて。色々と大切にしたい縁が私には多かった。縁というのは、人にとって大切なものだ。

「お願い事何にした?」

「これからの事にしたよ」


残り少ない高校生活、その後に待つ大学生活がどうなるのか、正直見当もつかない。だが、それらの時間をどう過ごすのか、どう過ごしたいのか、それがきっと大切なのだろう。


私はこの時間を、楽しみたい。辛い思いも、悲しい思いも、全て味わって生きて、過ごしていこうと思う。

人生は一度きりだというのなら、良い縁に出会い、そこから多くを感じていきたい。

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今年の願いとこれからを 宵闇(ヨイヤミ) @zero1121

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