妖の宿主
篝日 翼
第1章
第1話 再会
燃え盛る炎、焼け落ちる家屋の柱、無惨に転がる屍の上に1人の少女が立っていた。
「私のせいで...。みんな、ごめん」
ジリリリリ!
けたたましく鳴り響く目覚まし時計の音。勢い良くその音を止めると、少女『水藻環那』は背伸びをする。その時、1階から柔らかい音が聞こえた。祖母の声だ。
「環那ちゃん。早く起きないと遅刻するよ?」
「はーい 今行く。」
手早く身支度を済ませると1階にあるリビングに降りる。リビングの中に入ると、ハムの焼けるいい匂いがした。
「おはよう、おばあちゃん」
祖母に挨拶しながら、椅子に座る。
「おはよう、今日は随分ゆっくりだったね。」
「なんか変な夢を見てさ」
「それより、時間はいいのかい?」
環那は時計を見ると、テーブルの上のハムエッグを食べ、コーヒーを飲み干した。
「行ってきます。」
鞄を掴み、靴を履き、家を出た。
神宮町立第一高校。環那の通っている高校だ。
教室に入ると、クラスメイトの平井海が話しかけてくる。彼女は現代でも活動している陰陽師の1人だ。
『陰陽師』古くは平安時代からいて、人ならざるもの、『妖』を祓う仕事だ。
「ねぇねぇ環那。知ってる?今日転校生が来るんだって。」
環那は席に座りながら、聞く。
「なんでそんな事知ってるの?」
「朝、職員室の前を通った時、たまたま聞いたの。」
その時、予鈴が鳴り、バラバラに散っていたクラスメイトは自分の席につく。教室のドアが開き、担任の教師が1人の男子生徒と共に、入ってきた。
「みんな席についたな。まずみんなに転校生を紹介する。」
教師がそう言うと後ろにいた男子生徒が教卓の前に立つ。その姿を見て、環那と海は思わず声を漏らした。
「うそ、なんで。」
「初めまして。須佐田泰成です。京都から来ました。よろしく。」
クラスがざわめいた。
「はい。静かに。須佐田の席はそこな。水藻の隣だ。水藻。クラス委員だし、案内頼むな。」
「はい。」
泰成はずかずかと歩いて来ると、環那の隣の席に座る。そして話しかける。
「久しぶり。環那。」
「なんであんたがここにいるのよ。」
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