31 謫仙2

現在のタクセンは四幹部と各派閥から成る。

第一に李白。各地の斥候・協力者をまとめ上げる。

第二に杜甫。取り立てて言う事の無い、中年の正規隊長。

第三に韓愈。後方勤務の最年少幹部。

第四に白居易。遊撃隊長。

そして、彼等の敬称は「仙」である。


既に謫仙会は始まっていた。

会食の名を冠した会議。

想定された議題の為に、酒類は下げられている。

「李白殿。狂者の動きは?」眼鏡の男は口を拭いつつ言った。

「自制無き異能展開に作戦無き逃走。まるで首から上を失したかの如く。が、人数が朱衛府の情報と合わない。つまりは情報不足だ。下手に手を出してはいけない。幸い奥地故に周囲への影響は無きに等しく、戦力確認も兼ねて放置中だ」李白と呼ばれた男も膳を置く。

「そこを私の遊撃隊がぐるり。いつでも捕まえられるよぉ」

「では正規隊を動かす必要はありませんね。良い事です」

「物資の消耗も少なく済みそうです。素晴らしい」と眼鏡男。

そこへ。


「李仙!朱衛府より通信です。御退席願います」

王維が声を掛ける頃合いを計っていたのだ。

幹部達はどよめいた。

待ちわびたレベルリオンの情報。

傍に控えていたもう一人の幹部候補生が李白の椅子を引く。


李白は威厳を保ちつつ、仙餐室を飛び出していった。

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